中国の国有企業で世界最大の鉄道車両メーカーである「中国中車（CRRC)」の従業員の給与情報がこのほど、ネット上に掲載され、賃金の低さがネットユーザーの間で話題となった。
中国のQ&Aサイト「知乎（ズーフー）」に掲載された6月21日のメッセージ、「中国中車青島四方機車車輛（中車四方）は、中国最大の高速鉄道列車の生産拠点だが、従業員の給料は、月にわずか680元（約14000円）しか手に入らなかった」を、中国複数のサイトが7月に報じた。鉄道業界によける国有企業の従業員の給料がこれほど低いことに、多くのネットユーザーが驚きを隠せなかった。
中国中車の党委員会工作センターの高亢氏は、中国の毎日経済新聞記者に対し、「決済の問題が絡んでいるため、中車四方の6月分の給料は実は2回に分けて支給され、7月1日にもう1回支給された」と述べた。しかし、高氏は2回目の支給の具体的な金額を明らかにしなかった。回答者がなぜ管理職ではなく、同社の党委員であるのか、理由は不明である。
中国中車は中国高速鉄道の完成車メーカーであり、中車四方は中国中車傘下の業務能力が最も強い子会社である。このような国有大手の従業員の賃金はこれほど低いということは、他の高速鉄道製造会社の状況はさらに悪くなる可能性がある。これは、高度成長期を経た中国の高速鉄道が苦境に陥っていることを反映している。
2011年まで、中国の高速鉄道路線は年間8000キロのペースで伸びていたが、建設された路線の全体的な利用率が低く、収益性もなかった。北京-上海（京滬線）、上海-南京（沪寧線）、上海-杭州（滬杭線）、北京-天津（津京線）など、収益性の高いいくつかの路線を除いて、ほとんどの高速鉄道路線が深刻な赤字を出している。2021年末、中国国家鉄路集団はすでに5.92兆元（約119兆円）の債務を負い、498.5億元（1兆円）の損失を計上した。
ここ2年間、中国共産党の厳しいコロナ対策により、旅客数は大幅に減少し、今年の鉄道投資は6年ぶりの低水準に落ち込んでいる。中国国家鉄路集団のデータによると、今年運行開始予定の新高速鉄道の走行距離は1400kmで、2019年の1/4しかない。鉄道投資の減少に伴い、受注が減少し、中国国家鉄路集団の営業成績も低下し、中車四方では今年第一四半期に2億元の損失を計上した。
日本語版ウィキペディアによると、中国中車青島四方機車車輛は中国の副省級市である青島市にあり、その前身は四方機車車輛廠で、在青島ドイツ総督府によって1902年に創設された。現在では、高速鉄道車両や地下鉄車両などの電車を主に開発製造する企業である。多くの鉄道関連技術の開発と生産の記録を持ち、青島市の十強企業の1つである。
（翻訳・藍彧）