中国共産党創立101周年を迎えた1日、中国安徽省に位置する「合肥総合性国家科学センター人工知能研究院」が、AI(人工知能)を活用して党員の忠誠度を判断するイデオロギー教育装備「スマート思想政治バー」 を開発し、使用していると、香港明報3日の報道で分かった。
合肥研究院は、中国科学院と安徽省の二重指揮を受ける国家級戦略AI研究所だ。当該研究機関が広報のために、ウィーチャット(中国版SNS)公式アカウントに宣伝する短編動画を作成して掲載した。動画では白衣を着た党員が「スマート思想政治バー」と書かれたガラス施設に入る。設備内に設置された大型タッチスクリーンの前で、教育生は測定機器を利用して顔面視覚反応、脳波反応、皮膚の電気反応などバイオ信号を収集して検査を受ける。AIがイデオロギー教育の学習効果を判断し、党員研究者に「党の恩恵を感じ、党の指示に従い、党と共に進むようにする信頼と決心を確実に助けた」と研究所はSNSで強調した。
中国のネットユーザーはSNSに公開されたAI研究院の広報映像を通じて、人工知能がイデオロギー教育や世論動向監視にすでに使われていることを確認した。「科学技術洗脳」を指摘する一方で、中国のデジタル権威主義が英国小説家ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場するビッグブラザーがすでに現実となったと憂慮した。当局は波紋が広がると、該当研究機関が技術成果の元記事と広報のためにSNSに掲載した掲示物と動画を素早く削除し、収拾に乗り出した。
これについて、民主活動家の呉楽宝氏は、「顔認識にせよ機械学習(マシンラーニング)にせよ、大量のデータが必要だという非常に重要な鍵がある。欧米などの民主的な国では、データ収集に関わるさまざまなプライバシー保護法や知的財産の問題があるため、大規模なデータベースを作成することは困難である。しかし中国では、中国国民は基本的にプライバシーという概念を持っておらず、関連する法律すら存在しないと言える」と述べた。
呉氏は、この技術には最初は多くの問題があるかもしれないが、「党に忠誠を自称する李鴻忠氏(現職は天津市党委書記)をはじめとする中国共産党にまず使うのは、非常にうっぷんを晴らせることができるかもしれない」と述べた。
しかし、呉氏は、中国共産党がこの技術を展開すれば、「最終的な犠牲者は中国の13億人の国民、さらには世界中の中国共産党の影響を受け、迫害されているすべての人々だ」とも強調した。
(翻訳・藍彧)