中国の不動産市場は、今年に入ってからも低迷が続いており、1月から5月にかけて、成約件数が激減した。最近、不動産デベロッパーは、買い手を獲得するためにさまざまな新しい販売方法を導入している。
中国の複数のメディアは21日、不動産デベロッパーによる最新の販売方法「物で住宅を購入(物々交換)」を報じた。河南省商丘市(しょうきゅうし)民権県建業河畔の家屋は20日、「小麦で住宅と交換」という宣伝文句で売りに出された。同広告によると、購入者は500グラムあたり2元(1キログラムあたり80円)で小麦を不動産開発会社に売ることができ、その代金は最大16万元(約320万円)まで住宅の購入代金に充当することができるという。
また、5月22日には早くも同省開封市杞県(きけん)で、「ニンニクで住宅と交換」というセールが公告され、購入者は500グラムあたり5元(1キログラム当たり200円)で最大10万元(約200万円)のニンニクを不動産屋に売ることができるとの販売方法が登場していた。
注目すべきは、小麦もニンニクも市場価格は500グラムあたり1.5元(1kgあたり60円)程度なのに、不動産業者は市場価格よりはるかに高い価格を提示しており、明らかに値引き販売であることだ。
上記の2つの住宅販売広告を打ち出したのは、河南省の「建業不動産」という会社である。同社は1992年に設立され、河南省鄭州市に本社を置き、2008年に香港証券取引所に上場、河南省の100以上の都市で事業を展開している。
中国国内の報道によると河南省の不動産市場は、コロナ禍や洪水、および政府の経済政策の影響で、昨年から売上高が大幅に減少し、建業不動産は資金不足に陥り、現在は積極的に挽回に乗り出しているという。
しかし、中国国民の間では、買い下がりよりも買い上がりの方が良いという認識が一般的である。市場に出回る住宅が増え、価格が下がれば下がるほど、購入後に価値が急速に下がることを恐れている人が多い。
さらに、厳しい防疫対策により、多くの人が突然安定した収入を失い、住宅ローンの返済ができなくなったため、最近、多くの物件が差し押さえられ、競売にかけられている。3ヵ月後にはもっとひどい状況になるとの予測もある。
(翻訳・藍彧)