信仰や善の心さえあれば、人生の道はきっと開けたものでしょう。(イメージ / Pixabay CC0 1.0)
米ノーマン・ヴィンセント・ピール博士が書いた『積極的考え方の力』は、40以上の言語に翻訳され、2千万冊も販売されました。1952年に出版されてから、アメリカのベストセラーに1年も選ばれ続けました。本の中にたくさん励まされる実話があり、その中の一つを紹介します。
ある日、「お終いだ、お終いだ、今まで積み上げたものがすべて台無しになった」と呟きながら、まるで人生に絶望したような顔をした男の人がノーマン博士を尋ねました。
博士は「すべてですか」と聞きました。男は「はい、すべてです。僕にはもう何も残っていません。すべてを失ってしまいました。私はもう年で事業を立て直せる自信がまったくありません」と答えました。
博士は男に、「残った資産を紙に書きだして、計算してみましょう」と言って、いくつか質問しました。
博士「奥さんがいますか。」
男「もちろん、妻は最高です。結婚して三十年が経ちますが、どんなにひどい境遇になっても、見放されたことは一度もありませんでした。」
博士「いいですね。これを書いておきましょう。お子さんはいますか。」
男「子どもは三人います。彼らも最高です。私に『お父さん、愛しているよ、いつも応援してるよ』と言ってくれます」
博士「すばらしいです。友だちはいますか」
男「何人か親友がいます。彼らは助けてくれようとします」
博士「では、あなた自身は何か悪いことをしたことがありますか」
男「私は一度も人を傷つけたことがなく、良心に基づいて生きてきました」
博士「いいですね。健康状態はどうですか」
男「健康に問題はありませんが、最近よく悲しくなったり、鬱陶(うっとう)しくなったり、人生がお終いだと感じてしまいます。」
博士「神様を信じますか」
男「はい、信じます。神様の助けがなければ、ここまで来られなかったと思います。」
質問を終えた後、博士は「何が残っているか。紙を見て見ましょう」と言いました。紙にはこう書いてありました。
一、結婚して三十年の奥さんがいる、見放すことはありません。
二、あなたを愛している子ども3人がいて、いつも応援してくれています。
三、何人かの友人がいて、皆あなたを大事にし、助けてくれます
四、自分自身は堂々として、不安なことはありません。
五、健康です。
六、最も素晴らしい国の一つであるアメリカに住んでいます。
七、信仰があります
博士は紙を男に見せながら、「さきほどすべてを失ったと言っていましたが、たくさんの資産を持っていると思います」と言いました。
男は「こんな風に考えられるなんて思ってもみませんでした。もしかしたら、そんなに悪くないかもしれません。自信さえあれば、また立て直せるはずです」と呟きました。
幸いなことに、彼は再び事業に成功しました。
私たちは平和で幸せな生活を祈っていますが、人生の中でひどい目に遭ったとき、心がずたずたになり、生活に対する希望さえ失ってしまうことがあります。しかし、どんなに絶望的なことだとしても、あきらめてはいけません。今持っているものを大切にしなければなりません。
名利や地位はうらやましがるものですが、人生において最も重要なものではありません。人と人との愛こそが一生付き合う最も大切な財産です。家族や友だちの愛を大切にしながら、自分も大切にして生活していきましょう。
いかなる状況においても、神様は人を見捨てません。信仰や善の心さえあれば、人生の道はきっと開けたものでしょう。
(翻訳・北条)