(陳健氏が9日、四川省涼山イ族自治州西南部に位置する美姑県でイ族の若者たちの結婚披露宴を撮影した動画のスクリーンショット)

 中国のあるインフルエンサーが9日、四川省涼山(りょうざん)イ族自治州で地元の結婚式の風習や民俗をライブ配信したところ、地元の公安警察に呼び出された。理由は、ライブ配信の動画が現地の赤貧(せきひん)状況を記録し、中国共産党が宣伝する貧困撲滅の嘘を暴いたからだ。

 中国のインフルエンサー陳健氏が9日、四川省涼山イ族自治州西南部に位置する美姑県(びこけん)でイ族の若者たちの結婚披露宴を撮影し、「ティックトック」「快手(クアイショウ)」にアップロードしたとして、地元警察署と宣伝部の職員に呼び出されたことが、ネットユーザーの暴露で明らかになった。

 尋問調書の記録によると、公安警察は経緯を細かく質問していたことが分かる。概ねは、陳健氏が発表した動画は地元住民の赤貧状態を映し出しており、政府の貧困撲滅に勝利したプロパガンダと矛盾し、現地の貧困撲滅やコロナ流行の予防・制御などのイメージに影響を与えているというものであった。公安警察の捜査の焦点は、この動画が悪意を持って計画されたものかどうかということだった。

 このブロックされた動画では、現地の風習や民俗を撮影したほか、貧困の現状も記録されていた。カメラの下にある新婚夫婦の新居はボロボロで、家には使えるテーブルや椅子、電化製品はほぼなく、宴会に参加する友人や親戚は皆地面にしゃがみ込み、宴会料理も豆腐の漬物スープや中華蒸し饅頭(マントウ)などごく簡単なものしかなかった。

 ある村人は陳健氏に、「これは地元の村の中では、比較的立派な家族だ」と伝えた。

 現在、この動画は中国ネット上から削除されており、動画プラットフォームなどでの転載内容もすでに見えなくなっている。

(翻訳・藍彧)