上海市は大量なシロアリの大群に見舞われた。(YouTube動画のスクリーンショット)

 上海市5月29日夜、「シロアリが上海を襲う」という話題がインターネット上で瞬く間に検索上位に上り、注目を集めている。

 2カ月以上の閉鎖期間を経て、最近になって、すべての封鎖が解除すると噂されている上海市は、5月29日に突然、大量なシロアリの大群に見舞われた。一晩にして、上海の街には空いっぱいに舞うシロアリの群れが現れ、街灯や樹木を這いずり回った。

 上海の夕刊紙「新民晩報」5月30日の報道によると、多くの上海市民が、シロアリに室内に侵入されている動画を撮影したという。

 映像や写真などの目撃情報によると、楊浦区、黄浦区、普陀区などの場所で、大量のシロアリが発見されたとのこと。特に街灯の下、バス停のライトボックスの前、照明のついた店の看板など明るい場所では、大勢のシロアリが見られる。

 多くの上海のネットユーザーからは、自宅やオフィスで、シロアリの侵入が確認されたとの報告が多数寄せられている。

 市民から怖いと感じるコメントが多く寄せられた。

 「こんなにたくさんのシロアリを見たのは初めて、怖かった」

 「この道を歩いてきて、本当に恐ろしい。淮海中路の地下鉄の入り口は特に怖い。シロアリが密集して飛んでいる」

 「これは虫害だね。虫害だ!今、ベッドに横になっているが、全身がかゆくて震えている。恐怖の中で寝ている」

 高層住宅に住んでいる市民でも、家の中で大量のシロアリを発見した。一部のネットユーザーは、芸能人の劉畊宏氏のライブ放送中の状況を転送し、動画では、彼はフィットネスを教えながら、多くのシロアリに侵入され、「なんでこんなに飛ぶ虫がいるんだ」、「私たちは20数階に住んでいるんだぜ」と踊りながら叫ぶ様子が映っている。

 「極目新聞」によると、上海だけでなく、他の多くの地域でもシロアリの侵入が相次いで発生しているという。例えば、武漢市東西湖区、広東省湛江坡頭区と仏山順徳区などでも、最近大量のシロアリが発見された。

 上海は現在、シロアリの繁殖のピークを迎えていると警告する専門家もいる。上海当局によると、毎年5月から6月にかけてシロアリの苦情が寄せられるが、例年のシロアリは古い住宅が密集している地域に集中することが多く、今回は新築の高層住宅にも大量のシロアリが舞い込んでおり、例年よりはるかに数が多かったという。

 微生物生態学に10年以上携わっている研究者によると、ここ数ヶ月、上海市がゼロコロナ政策を実施している期間中に、政府は大量の防疫スタッフによる道路、建築、樹木、ひいては住民の家の中まで消毒殺菌作業を行なったため、シロアリの天敵である各種の細菌、真菌及びクモ、アリ、カエルなどの小動物を一緒に殺し、天敵のない環境では、シロアリは自然に大量に繁殖するという。したがって、中国全土で行われているいわゆる消毒・殺菌作業は、科学的な常識を無視した不必要なものであり、環境に予測できない害をもたらすと同研究者が考えている。

(翻訳・藍彧)