中国共産党(以下、中共)の過酷な防疫対策の下で、中国経済は衰退し続けており、大卒者の就職にも大きな圧力をもたらし、卒業と同時に失業している。
公式データによると、4月の中国の16歳〜24歳を調査対象とした失業率は18.2%に達し、欧米をはるかに上回り、過去最高を記録した。この数字は、若者の10人に2人が失業していることを意味する。また、4月の全国都市部調査の完全失業率は0.3ポイント上昇の6.1%となり、これも2020年3月までの過去最高を記録した。
北京大学国家発展研究所の盧鋒(ろほう)教授が調査したデータによると、4月の中国、米国、ヨーロッパの3大経済圏の失業率は、中国6.1%、米国3.6%、ヨーロッパ6.2%だったという。4月の中国の若年層失業率は18.2%、ヨーロッパ13.9%、米国8.6%だった。中国の若年層失業率は2021年10月以降、加速し続けている。
中共教育部(文部省に相当)のデータによると、今年の大卒者の総数と増加はいずれも、例年に比べて過去最高を記録したという。2022年の中国国内の大学卒業者は前年比約167万人増の推計約1076万人で、初めて1千万人を突破するという。
中国人民大の中国就職研究所と大手人材会社「智聯招聘」が4月下旬に発表した報告書によると、22年第1四半期(1~3月)の大卒者の就職市場景気指数(求人数を求職者数で割った値)は0.71、前年同期比で8%減少し、求人応募数は前年同期比で75%増となった。コロナ禍が始まった20年以降で最低を記録した。
北京の経済アナリストは「コロナ再流行でロックダウン(都市封鎖)など企業活動の制限が相次いだことに加え、習近平指導部が進めたIT業界や教育業界の統制強化でリストラが急増したことも、新卒者の雇用市場に悪影響を及ぼしている」と分析した。
時事評論家の黎宜明氏は、中国経済はすでに衰退していると米紙エポックタイムズに語った。現在実施されているゼロコロナ政策は経済にさらなる深刻な打撃を与えている。多くの外資系企業が中国から撤退し、多くの国内企業が社員を解雇している。当然、大学生の就職は困難になるだろう。
中国の経済サイト「新浪財経」が17日に発表した「5年間追跡したリアル調査『失業率18%超、若者の反応に興味津々』」という記事によると、「今後2年間の雇用状況は非常に厳しい」と答えた大学生が72.2%に上ったという。就職への期待という点でも、大学生は自信が低下する傾向が見られ、「不安」「戸惑い」が共鳴する声となった。
智聯招聘が留学からの帰国者に実施した調査では、83・1%が「国内就職が難しくなった」と回答。「帰国者の増加で競争が激化した」「企業にとって留学経験者の魅力が減った」「就職戦線が全体的に厳しくなった」が理由の上位を占めた。
(翻訳・徳永木里子)