スリランカが一部国債の利払いを猶予期限である18日までに実施できなかったと、同国の中央銀行が認めた。英フィナンシャル・タイムズ19日の報道で分かった。
経済危機に直面するスリランカ政府は4月中旬、経済再建策がまとまるまで対外債務の支払いを一時停止すると表明していた。
スリランカは4月18日が期日だった7800万ドル(約99億円)の利払いを実施できなかった。30日の猶予期間が設けられていたが、スリランカ中銀のウィーラシンハ総裁は19日に「債権者からみれば、デフォルト(債務不履行)と見なせるだろう」とし、「債務再編までは支払えない」と述べた。
フィナンシャル・タイムズによると、スリランカ政府は510億ドル(約6.5兆円)の対外債務を累積している。今年は70億ドル(約8932億円)の債務を返済する必要があり、今後数年間の支払い金額もほぼ同じ。
また、スリランカ中央銀行は、同国のインフレ率がさらに上昇する可能性があり、今後数カ月で全体のインフレ率が40%前後に達するだろうと警告した。
現在、中国はスリランカの最大の債権国であり、スリランカが返済できない510億ドルの対外債務のうち、110億ドル(約1.4兆円)が中国の借りである。
スリランカ内戦時に、中国政府が18億ドル(約2296億円)の武器を売却したことがある。内戦終結後にインフラ整備を支援すると称して、50億ドル(約6380億円)を融資し、平均金利なんと3.3%に達し、日本の5倍に近い。
中国は巨大経済圏構想「一帯一路」に基づきスリランカへの投融資を増やしてきた。債務返済に行き詰まったスリランカは2017年、南部ハンバントタ港の権益の大部分を中国側に99年間貸与することで合意した。中国共産党が出資するハンバントタ深水港は、「債務のワナ外交」の典型的な例となった。
今回のスリランカの債務危機は、中国政府の国際的なイメージに影響を及ぼしているという指摘もある。
(翻訳・徳永木里子)