世界保健機関(WHO)の事務局長であるテドロス・アダノム氏IAEA Imagebank CC BY 2.0 via flickr

 世界保健機関(WHO)の事務局長であるテドロス・アダノム氏はこのほど、中国共産党(以下、中共)政権に対し、ゼロコロナの政策が持続不可能だと警告した。この発言は直ちに中共の一連の強い反発を引き起こした。

 WHOは10日に記者会見を開き、テドロス・アダノム事務局長が、「中国の専門家と話し合い、中国のゼロコロナの政策は持続できないと指摘し、ウイルスの特徴を考慮すると、対策措置を変えることが重要だと思う」と述べた。

 一方、中国外務省の趙立堅報道官は11日の記者会見で、「中国は疫病の予防と制御の面で、世界で最も成功している国の1つだ」とし、「米国は世界で医療技術が最も先進的で、医療資源が最も豊富な国の1つとして、疫病対策における政府の非効率性は、天災というより人災であり、米政府の生命軽視と不作為を反映している」と批判した。

 中共の機関紙環球時報(かんきゅうじほう)の元編集長である胡錫進(こしゃくしん)氏もウェイボー(weibo、微博)の投稿で、「中国だけが自己の責任を負うことができる。中国が一旦ロックダウンを解除したら、どれだけの人が死ぬか、WHOは責任を取ってくれない。こんな時期にWHOは、中国政府の努力を外部から取り壊すべきでない」とWHOを批判した。

 WHOの公式ウェイボーに掲載されたテドロス・アダノム事務局長の講演のテキストと動画は、掲載後すぐに削除された。

 米国ホワイトハウスのウイルス専門家アンソニー・ファウチ博士は、米国フォーリン・ポリシー誌のラビ・アグラワル編集長とのインタビューで、中共のゼロコロナ政策は「今や災難である。上海でも、おそらく北京でも災難である」と述べた。

 新型コロナウイルスのオミクロン株に直面し、多くの西側諸国は「ウイルスと共存する」戦略を取っている。しかし、中共当局は依然としてゼロコロナ政策を堅持しており、その結果、数千万人が自宅で封鎖・隔離されている。

(翻訳・黎宜明)