農業分析会社のグロ・インテリジェンス社の最高経営責任者であるサラ・メンカー氏は19日、国連安全保障理事会で、「世界には小麦の供給在庫が 10週間分しか残っていない」と発言した。
メンカー氏は、ウクライナとロシアを合わせると世界の小麦総生産量の約3分の1を占めているが、ロシア・ウクライナ戦争は小麦不足の主な原因ではなく、「すでに灼熱の危機に油を注いだだけだ」と述べた。
同氏は、「COVID-19の発生でサプライチェーンの脆弱性が暴露される前から、危機が醸されていることに気づいていた」とし、「これらのことを共有したのは、たとえ明日に戦争が終わったとしても、食糧安全保障の問題について、協力して一致団結して行動しなければ、すぐには問題解決できないことを、皆さんに理解してもらうことが重要だと考えているからだ」と語った。
同氏はまた、「世界の食糧在庫は過去最低水準にあり、肥料の供給は非常に逼迫している。世界の小麦生産地も過去20年ぶりの最も深刻な干ばつに見舞われている。同様の在庫問題は、トウモロコシや他の穀物にも発生している。政府の予測・判断には問題がある」と述べ、「もちろん主要国には戦略的備蓄があるとは思うが、世界全体分の小麦供給量としては、10週間分しかない」と強調した。
国連世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー事務局長は、世界は今「前例のない危機」に直面しおり、43カ国の4900万人が飢餓の扉を鳴らしていると述べた。また、飢饉に伴い政情不安も訪れると指摘した。
中国からのニュースによると、この食糧危機が勃発すれば、中国も免れないだろう。中国のネット上では、次のようなメッセージが出回っている。「小麦は熟しているが、ロックダウンで青壮年が故郷に帰れないので、収穫する十分な人手が足りない。その上、例年なら移動する収穫隊がいたが、今年がいなくなった。高速道路もコロナで規制されているため、収穫機が来られなかったら、農家はどうすればいいのか?」
(翻訳・徳永木里子)