米国下院(Speaker.gov, Public domain, via Wikimedia Commons)

 米国下院は4月27日、共和党が提案した「習近平による(米国の対ロシア制裁へ)の干渉と破壊を評価する法案(Assessing Xi’s Interference and Subversion Act)」を394対3の圧倒的多数で可決した。この法案のタイトルの頭文字をとると「AXIS Act(アクシス・アクト)」となり、英語の「axis(日本語訳:枢軸)」と偶然にも一致している。

 米議会の法案の表題に習近平の名前を明示する前例がない。米国の両党の議員が、ロシアのウクライナ侵攻を支援する上で習近平が果たした重要な役割に注目していることが明らかになった。

 法案によると、米議会の調査で以下のことが判明した。

 ・今年2月4日、ロシアのウクライナ侵攻の数週間前に、プーチンと習近平は会談後に共同声明を発表し、協力関係の分野で「禁じられた」ものはないとし、「無制限」の戦略的パートナーシップを築くと表明した。

 ・中国は、ロシアのウクライナ侵攻を非難する国連安保理の2回の決議で、いずれも棄権した。

 ・4月1日現在、中国はまだロシアのウクライナへの侵攻を公式に非難したことがない。

 従って、この法案は国務省に対し、同法案発効後30日以内に、中ロ間の協力に関する非機密の報告書を議会に提出するよう求めた。また、同法案では、国務省が報告書提出後90日ごとに内容を更新することを義務付けている。

 この後、当該法案は米上院に送られ、審議される予定。米上院で可決後、法案がホワイトハウスに提出され、バイデン大統領の署名を経て発効する。

 当該法案を提出したケンタッキー州の共和党アンディー・バー(Andy Barr)下院議員は、「今こそ、米国はこの新たな悪の枢軸に直接対峙する時だ」と述べた。

 米国在住の時事評論家・江峰氏は、ロシアとウクライナの戦争に関するこの法案が、中国共産党の指導部の分裂を引き起こし、中国を変える重要な法案であると分析した。

 (翻訳・黎宜明)