上海のロックダウン(都市封鎖)を実施して以来、中国各地からの物資が絶えず供給されているにもかかわらず、上海市民は依然として深刻な食糧不足に直面している。一方、複数の情報筋によると、中国共産党(以下、中共)の政府関係者が防疫政策を利用し、供給保証やグループ販売において巨額の利益を貪っているという。
最近、上海のボランティアである帥俊(すいしゅん)さんの、ネットユーザーとのウィーチャット(微信、WeChat)のメッセージ履歴のスクリーンショットがSNSで出回っている。スクリーンショットによると、帥俊さんが持っているのは、上海ボランティア協会が発行したボランティアIDカードで、その登録日は上海政府が「都市封鎖」を発表した直後の2022年3月30日だった。
帥俊さんは、供給保証部門のスタッフとして、不足の物資をコミュニティーに供給しており、1日に1万元(約20万円)ほど稼ぐことができると明かした。しかし、このような「おいしい仕事」は誰でもできるわけではなく、「コネ」が必要だったという。政府が発行した通行証を利用し、毎日500カートンのタバコを上海に運び、コミュニティーのグループ買いを通じて販売し、1カートンにつき100元(約2000円)の利益を稼ぐことができると帥俊さんが明かした。
さらに帥俊さんは、自分の所属する部門は中共政府から指定されており、通行証(IDカード)も中共政府から発行されていると言い出した。自身が1日に稼いだ金額はそれほど多くなく、上司は1日に30万元(約600万円)を稼ぐこともあるという。「コロナが終息しないことを祈る」とさえ口にした。
供給保証の内幕について、上海のコミュニティーボランティアのAさんが「大紀元時報」に、住民が出入りすることができないことと異なり、政府が発行した通行証が与えられたコミュニティーや居民委員会のスタッフは自由に出入りできる特権を持っていると明かした。
Aさんによると、現在一番の問題は、物資はたくさんあるのに、コミュニティーに直ちに入り込めず、住民たちの手に届けられないことだという。コミュニティーに入り込むためには、政府が組織するグループ販売に参加しなければならず、住民たちは物資を購入させられ、どうしても政府にぼったくられてしまう。Aさんは、政府が通常価格で安価の食品を住民に買ってほしくないだけだと考えている。
また、インターネット上で出回っている動画では、上海江橋鎮にあるコミュニティーの公務員が物資を住民に配らずため込み、それを高値で転売し、野菜が腐り、肉が持って行かれたことをコミュニティーの住民が発見した様子が映っている。その光景に住民は激怒し、数十人の警察官が駆けつけたが、それでも事態を収拾することはできなかった。
(翻訳・徳永木里子)