(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 米国のリンカーン大統領は自らある受験者を面接した。参謀は「この人は良い」と思っていたが、リンカーン大統領は彼を採用しなかった。参謀がリンカーンに「あの人は能力が足りないと思われましたか?」と尋ねると、リンカーンは「僕はあの人の外見が好きではありません。」と答えた。

 参謀は良く理解できなかったので「外見が良くないのはあの人のせいですか?」と尋ねると、リンカーンは「人の外見は40歳までは親次第ですが、40歳以降は自分次第です。」と答えた。

 確かに、両親から遺伝した生まれつきの外見は変えられないが、人の経験や品格は、その人の外見や行動に表れる。成長後の外見は、性格や品格に影響されるものだ。

 中国に、このような伝説がある。山東省に妖魔や怪物を彫刻するのが好きな職人がいた。彼の彫刻には活気があり、たくさんの人が彼の作品を買い求めた。

 だがある日、彼が鏡を見ると、いつの間にか自分の外見が凶悪で醜く怪しげに変わってしまっていた。有名な医者にも診てもらったが、全く治らなかった。

 偶然、職人はあるお寺にたどり着き、お寺の長老に悩みを訴えた。すると長老は、「私はあなたの願いを叶えられます。ただし、表情や姿勢の異なる観音様の像をいくつか彫刻してもらうのが条件です」と答えた。職人は願いを実現するため、長老の条件を受け入れた。

九蓮観音菩薩像(Wikimedia Commons / Metropolitan Museum of Art [CC0])
 数千年の歴史を持つ中国の伝統文化において、観音は優しく、善良で、神聖で、純潔で、心が広く思いやりがある正義の化身で、彼女の表情もそれらの概念の典型的なイメージである。職人は彫刻する間、常に観音の心理状態と表情を研究し、観音の美徳に磨きをかけ、時には我を忘れ、自分が観音だと感じることさえあった。

 半年後、「善良」、「慈悲」、「寛容」、「殊勝」の異なる表情の見事な観音像が人前に披露され、人々から絶賛された。

 この時、職人は自分の外見が堂々とし穏やかに変わったことに気付き驚いた。彼の病気はこうして治ったのだ。

(文・平心/翻訳・謝 如初)