(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国各地で地方政府の財政危機が広がり、銀行業の窮状が深まる中、河南省の3つの農村向け銀行はこのほど、突然、預金者との連絡を絶ち、引き出し業務が停止したというニュースがネット上で流れた。

 禹州新民生(うしゅうしんみんせい)村鎮銀行、上蔡恵民(じょうさいちみん)村鎮銀行、柘城黄淮(しゃじょうこうわい)村鎮銀行では、預金が引き出せず、モバイルバンキングアプリが開けず、銀行の電話番号につながらないなどの現象が起きていると、ネットユーザーが述べた。預金者は政府のホットラインや市長の電話番号に電話をかけたが、誰も出ない状態だ。このような状況下で、多くの預金者が、権益を守る団体を結成し始め、預金を取り戻そうとした。

 あるネットユーザーは21日、全預金をこの3つの銀行に預けており、正常に戻ることを望むとウェイボー(微博、Weibo)に投稿した。また、自分の600万元(約1.2億円)の預金がすべて引き出せなくなっているという動画を投稿したネットユーザーもいた。

 銀行から預金を引き出せない状態が数日続いている。中国経済メディア「界面新聞」によると、18日から3社の銀行のネット預金がいずれも引き出せなくなり、すべての店舗やカスタマーサービスに連絡がつかない状態になっているという。ようやく銀行のカスタマーサービスにつながったところ、警察に通報することを勧められたという預金者もいた。

 これに対し、禹州新民生村鎮銀行は18日、ネットワークシステムのアップグレードのため、銀行ソフトウェアサービスを一時停止させたと言って、ウェブサイトにデマを払拭する通知を掲載した。しかしその後、預金者が20日に同行の支店で現金口座の現金照会を求めたところ、銀行員に拒否されたことを明らかにした。

 今回の銀行業務の停止はインターネットの利用者に限らず、この3つの銀行のすべての預金者に影響が及んでいる。これまで、預金が引き出せないという現象について、銀行、政府、警察からの説明が未だにない。

 あるネットユーザーが法的な案件を調べたところ、昨年、禹州新民生村鎮銀行が20万元(約400万円)の無担保融資を出したが、債務者が支払いを拒否した事例があったことがわかった。銀行の不良債権が出金困難の原因ではないかと推測した。

(翻訳・徳永木里子)