全ての親は、自分の子供をこよなく愛しています。子供は成績優秀で、自制心がある賢い子になってくれることを、親は望んでいます。
暁旭ちゃんの母親もそんな一人です。暁旭ちゃんは小学校に入学し、ゼロから勉強を始め、全て独自模索、独自思考という自力で習得していく学習方法を実践しました。これは最適な学習の土台を作り、暁旭ちゃんの成績は「不可」から徐々に「秀」まで上がりました。また母親は十分な信頼と愛情を与えると同時に、「厚徳載物の理を持って、物事を受け入れ、先生には感謝の気持ちを持ち、クラスメート達には優しく接しよう」と教えました。
暁旭ちゃんに対する愛と信頼に満ちていました。母親の善は彼女に変化と成功を生み出しました。この様に子育てを成功させた母親の育児方法を聞いてみましょう。
子供は独立的な模索を通じて徐々に成功できると確信する
娘、暁旭の勉強方法には一つの優れた特徴があります。それは「自主性を高める」ことです。そのため、塾に通わせませんでした。小学校に行くようになってから、私は彼女に勉強のことを任せ、宿題を見てあげたり、単語の読み書きも手伝わず、先生が求めた保護者のサインもしたことがありません。もちろんこれは先生と相談し了承を得ていました。
小学校の入学試験で、暁旭の成績はとても悪い状態でした。他の子供たちはすでに100まで数えることが出来ていましたが、彼女は1から20まで数えるのも大変で、危うく試験に不合格になりそうでした。新学期が始まっても、彼女の成績は他の学生よりはるかに低く、担任の先生は何度も困った顔で「何とか出来ませんか」と私に言いました。そこで私は、「先生、少し時間を下さい。そのうち彼女はきっと追い着きます。他の子供たちは、就学前クラスで一年生の授業を全て終了しているため、学校での習得が早いのは当然です。でも暁旭は勉強を始めたばかりで、彼女にはその分の時間が必要です。もうしばらく見守ってください」と言いました。
他の子供たちは、就学前クラスで一年生の授業を全て終了したので、次第に優劣の差がなくなると私は思っていました。暁旭の独学の習慣は、一年間の授業の中で形成できます。この独学的な探求力は一時的な点数よりもはるかに重要です。独自の模索によって、徐々に知識の習得を成功していくことは、一生のためになる大切なことなので、私は少しでも邪魔したくありませんでした。人生初めての「勉強」という貴重な経験を、彼女にさせたかったのです。
一学期の終わりには、暁旭の成績は見事に追い着きました。この自力で習得する勉強方法は、彼女の中学校での勉強にも良い基礎を築きました。
心の底から子供を讃賞し、自己肯定感を養う
私は心の底から子供を素晴らしいと認めています。このことは、母親の愛と同じで子供はいつでも感じることができて、子供は無限の力を湧き出させることができます。
具体的な例を挙げてみましょう。私は法輪功(註)を修煉していたので、数年間、不法強制労働をさせられました。家に帰ってきた時には、暁旭はすでに中学一年生になっていました。そして成績が悪く、地域で一番評判の悪い学校に通学していました。
当時、暁旭は祖父に預かってもらっており、その環境はとても良かったのですが、私は多くの困難を克服したので、暁旭を郊外に住む私の所まで連れてきてもらうよう頼みました。私が不法強制労働から帰って来たばかりの時、彼女はまるで「問題児」になりかけていました。祖父の溺愛と不適切な生活教育で、とても気難しい人になっていました。
初めての中学の保護者会に参加した私は、暁旭に「暁旭は学校で一番になれるよ」と優しく言いました。すると暁旭は、いつもの無愛想の表情から驚いた表情に変わり、「どうして?」と何度も聞いてきました。私は自信たっぷりで「暁旭ならきっとできるよ。今日はね、お母さんは学校の保護者懇談会に行ってきた。あなたの学校。あなたの教室。暁旭のクラスメートのお父さんお母さんたちにも会えた。そして暁旭もきっと一番になれるってお母さんはわかったよ」と言いました。
その瞬間から、暁旭の目の輝きが戻ってきて彼女の心の中の力を掘り起こすことができました。辛抱することが苦手だった暁旭は、とても我慢強く勤勉になりました。
勉強に落胆した子供にこのような信頼感を与えると、子供は徐々に素晴らしい力が湧いて来るのです。私は暁旭の勉強を一度も教えたことがなかったのに、成績は一歩ずつ、確実に上がり、一学期末には全校で一番になりました。
ある日本人の学者が水の結晶を研究していた事がありました。水に愛を持って良い言葉を伝えると、結晶がきれいになります。水に恨みを伝えると、結晶が醜くなります。これも教育学で有名な「ピグマリオン効果」であり、讃賞教育とも呼ばれます。
子供が「徳才兼備」「承載万物」のように
「厚徳載物」と言う言葉は、深い徳行を備えてこそ、万物を育む大地のように、全てを受け入れるという意味です。様々な摩擦や揉め事を受け入れ、山あり谷ありのような事や、予期せずに起きる事件も受け入れることができます。そして、スマホや遊びの誘惑、泥沼の人間関係に抵抗することができ、情緒の不安定さをなくし、自主的、自律的に勉強することができると思います。
「子供にはそんなことを教えてはいけません。勉強の邪魔になりますから」という先生方や保護者の言葉をよく耳にしますが、「これぐらいのことも受け入れられないなら、大人になったら何ができるのでしょう」と私は思います。それ程の素質がないと、目の前にある勉強も身につかないと思います。
一人の人間として、仲間意識を持たせなければなりません。子供の場合、家族や先生、クラスメートたちとの関わりを深めながら、仲間意識を育てていく必要があると思います。そのため、私は暁旭に多くのことを体験させました。最も肝要な私の不法強制労働の経験も彼女に伝えました。「あの経験があったからこそ、私は自分の良心に背くことなく、正直に暮らしてこれたのよ。あの時、労働教養所の管掌は、「早く家に帰って子供の面倒を見るためにも改心します」とか、「修煉を諦めます」などの文書を書けと脅迫されたけれど、そのような文書を、私は絶対に書かなかったわ。それはお母さんだけでなく、暁旭に重荷になるうようなことをしたくなかったから。私がそばにいないことで、あなたに淋しい思いや苦しみを与えてしまったのはかわいそうな事だった。でも『お母さんは私のために修煉を諦めた』という思いを暁旭にさせるのはもっと心苦しかったから、私は絶対に妥協せず、信念を貫いて帰ってきて暁旭に会ったのよ」と、彼女に言いました。
このような態度は、暁旭にどのようなネガティブなことが起きても受け入れる心や、強靭で寛容な人になろうと教えることができました。そのため、私がそばに居なくて暁旭の生活に重くのしかかる負担があっても、その中でいつも穏やかな心で過ごすことが出来、たとえ意に反する事があっても、冷静な態度で理性的に対応することが出来て、他人や環境を怨むことは全くありませんでした。暁旭には、「大人の為に背負おう」という類い稀な寛容さ、色々な事を受け入れる事ができるおおらかさがありますので、私はとても感心しています。
私は、信仰している「真善忍」に基づいて、暁旭に「真を持って他人と接すること。善を持って他人に優しくすること。揉め事があった時も、争わずに譲り合い、どんな事があっても、他人のことを先に考えること」と教えました。暁旭はこのような教えが好きですから、クラスメートたちを助けようと思いやりを持ち、他人のミスにこだわらず、悩みに耳を傾けることができました。
娘と一緒に先生に感謝、クラスメートを大切に
私は娘の先生方にとても感謝しています。多くの先生は豊富な経験と実力を持ち、その上、仕事に対する熱心さ、謙虚さ、そして礼儀正しさが非常に感じられます。
暁旭も多くの子供たちと同じように、学校から帰って来ると、学校であったこと、先生たちが努力している様々なことをよく話してくれます。この時になると、母である私はいつも感謝の気持ちがいっぱいで、「私たちは本当に幸運だね!先生たちがこんなに優しく接して下さり、どう感謝すればいいのかしら!」と答えます。すると、暁旭はとても嬉しそうで、急におしゃべりになります。私が家の中でどこへ行こうと私の後ろにぴったりとついて歩き回りながら、先生たちがして下さったこと、先生たちへの思い、尊敬と感謝などの気持ちがいっぱいで、ハイテンションに語ってくれます。暁旭と私は、とても幸せを感じるのです。
また、暁旭がクラスメートのことを話題にした時、私はその話を喜んで受け入れ、決して悪口を言わず、なにかあれば理性的に判断をしたり、アドバイスすることもあります。娘に悪賢い世渡り方法を決して教えません。暁旭には高尚な人になってほしいからです。
あるアトリエで出会った女の子のことですが、彼女は先生とクラスのみんながどのように悪いのか、文句を言いました。暁旭に「そうでしょう」と同意を求めるように言うと、暁旭はその子に、「いいえ、クラスのみなさんも先生も、とても優しいのよ」と言いました。そばにいた私も「善の心を持って他人のことを思った方がいいわよ」とあの子に言いました。すると女の子は戸惑いながら、「だけど、母はいつも、『お前が接している人はみんな何かしらの問題があるから、避けた方がいい』と言っているのです」と言いました。このような家庭教育は、「策士策に溺れる」のように危険を招きます。子供が他人に対する接し方は、やがてその子の親も同じようになります。クラスメートや先生との仲が良くないと、親との関係も悪くなり、家庭内でのトラブルも多くなると思います。
暁旭は通学している学校、クラスに仲間意識があり、私も彼女にとって先生やクラスメートはとても大切だと感じています。また、私の共感も暁旭に前向きな心を与え、モチベーションを高めていると思います。
現在、暁旭は高校3年生に進級して勉強が大変な時期になりました。この一年間で、彼女のために行う最も重要なことは、贅沢な栄養や、余計な介入ではなく、意識して暁旭の実力を認め、先生方とクラスメートに気を配ることでしょう。これこそが、彼女に前向きなエネルギーを注ぎ、落ち着いて勉強ができる環境を与えていくのです。つまり子供にとって一番大切なのは私たち親の優しい心です!
註:
法輪功とは、法輪大法とも呼ばれ、世界中で数千万の人々が愛好する気功修煉法です。法輪大法は佛家に根ざしており、本を読み、法を学び己を高めること、ゆったりとした動作と坐禅で煉功を行うことの、二つの要素からなります。
(文・紫静/翻訳・清瑩)