赤松総領事(中)(上海の日本総領事館ホームページより)

 赤松秀一総領事は15日、上海市の宗明副市長宛に、新型コロナウィルス感染症対策の長期化により日系企業が直面している窮状を訴えるとともに、収束後の経済回復の道筋を早期に示すことを求める内容のレターを送付した。在上海日本国総領事館の公式サイトで16日に発表されたプレスリリースで明らかになった。

 本レターは、上海日本商工クラブによる「上海市封鎖による事業への影響に関するアンケート結果」の取りまとめ、同副市長への提出に併せて作成・送付したものだ。

 赤松総領事はレターで、「上海市に暮らす約4万人の在留邦人も、他の中国の皆様と一体となって、この未曾有の困難に立ち向かっています。また、上海市には約11000社の日系企業の拠点が所在していますが、いずれの日系企業も、上海市政府の方針に全面的に従って、それぞれができる限りの協力を進めてきています。しかしながら、感染症対策の長期化に伴い、正常操業が行えない状態が既に1ヶ月以上も続いており、企業活動への悪影響が顕著に表れてきています」と述べた。

 赤松氏はまた、「1ヶ月以上に及ぶ操業停止等に起因する損失や従業員に与えている悪影響に加え、今後の先行きの不透明感は企業活動にとって大きな制約になっている」とし、上海当局にこれらの問題に関心を持つよう指摘した。

 複数のメディアによると、上海のロックダウン(都市封鎖)で、日本企業が受けた打撃が深刻である。現地の事業停止自体の損失に加え、サプライチェーン(供給網)が中断することにより、マツダや三菱自動車の国内生産も阻害された。「無印良品」の良品企画会社は現在、約50店舗が営業できていない。同社は中国で300以上の店舗がある。

 14日まで、上海のユニクロ86店舗、GU8店舗はすべて閉店している。コンビニエンスストアチェーンのローソンは上海に約1,000店舗あるが、ローソンは8~9割が休業中。ソニー、三菱電機、シャープなどのメーカーの現地工場も長期に渡って操業を停止している。全日空(ANA) と日本航空(JAL)は、上海路線の貨物便も一部運休していることを明らかにした。

(翻訳・徳永木里子)