リンゼー・グラム上院議員(中)(パブリック・ドメイン)

 米上下院の超党派議員6人が14日に訪台し、15日、蔡英文総統と会談した。一方、中国共産党(以下、中共)政権は、台湾海峡での軍事行動を突如としてエスカレートさせた。

 中共は15日、軍用機6機を出動させ、台湾の防空識別圏に侵入した。中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区は、台湾周辺の海空域で爆撃機や戦闘機、艦船による統合軍事演習を同日実施したと発表した。東部戦区は、この演習が米国を狙ったものだと言い放った。これまで、米国の議会議員が台湾を訪問した際、中共の対応は口頭警告と軍機侵入で妨害していた。今回のように軍事行動がエスカレートするのは珍しいことで、台湾海峡に危機が迫っていることが懸念される。

 訪台の団長である米共和党のリンゼー・グラム上院議員による15日の、中共と台湾に関する発言が鋭かった。グラム氏は台湾のメディアに対して、中共による中国人への身柄拘束などの行動は、台湾の行動とは全く異なっており、今こそ中共に責任を問うべき時だと述べた。また、台湾を見捨てることは、自由そのものをあきらめることであり、米国は決して自由をあきらめない、と付け加えた。

 産経新聞台北支局長の矢板明夫氏はフェイスブックでの投稿で次のように書いた。中共が台湾を武力侵攻する場合、米国は台湾防衛のために軍隊を派遣するかという質問に対し、グラム氏が「米国が強い軍隊を持っているのは、他人を征服するためではなく、世界の自由と同盟国を守るためである。米国人にとって、台湾は同盟国だ」と答えた。

 米国に亡命した中国海軍司令部の元参謀(中佐)である姚誠氏は、15日の中継番組で、「中共は確かに戦争を準備しているが、ターゲットは台湾ではない」と分析した。

 姚氏によると、中共が戦争に向けて軍事的な準備を進めていることを示す2つの大きなシグナルがあるという。1つは、湖南省懐化市にあるロケット軍第63基地の核兵器庫に、最近、大量の戦術核弾頭が運び込まれたことである。中共がロシア・ウクライナ戦争から得た啓示は、通常兵器を使っても米国、日本、台湾に勝てないこと、勝つためには核兵器を使わなければならないのだ。2つ目は、習近平総書記が中共の戦略ミサイル原子力潜水艦と攻撃型原子力潜水艦の約9割を占める、亜龍湾(ヤロンベイ)原子力潜水艦基地にある三亜市を視察したことである。姚氏は、ここが習氏の本当の目的地だと考えた。

 姚氏は、中共はロシアの敗戦を望んでおらず、そうなれば、西側諸国が直ちに中共に打撃を与えるだろうと述べた。なぜなら、中共はロシアのウクライナ侵略の共犯者であり、現在、西側諸国、特に米国は中共を最大の脅威としているからだ。しかし、ロシアの敗戦は時間の問題であり、中共は「座して死を待つ」ことはなく、現在米国との戦争の準備を進めている。

(翻訳・徳永木里子)