ロシアのウクライナ侵攻を受け、北欧のフィンランドとスウェーデンが、早ければ今夏にもNATO(北大西洋条約機構)に加盟する計画をしている。これに対し、ロシア側は強く反発し、口頭警告のほか、最近ではフィンランド国境に重火器を動員している。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は12日、フィンランドとスウェーデンに対し、NATOへの加盟はヨーロッパの安定を破壊すると警告し、強い反対を表明した。しかし、フィンランドのサンナ・マリン首相は恐れず、「フィンランドには20万人のロシア人が地下数メートルに埋葬されているので、ご先祖様のお供に大歓迎だ」と述べた。
12日、ロシア軍がフィンランド国境に重装備を動員しているというニュースが流れた。ツイッターには、ロシアのサンクトペテルブルク北東部のヴィボルグ地方のロシア軍が、対艦ミサイルシステムなどの重軍事装備をフィンランド国境に移動し始めている動画が流れている。
また、アメリカ海軍調査研究所(USNI)のコラムニストで軍事専門家のH・I・サットン氏は12日、フィンランド湾でロシア海軍のラダ級潜水艦が海上テストを行っている衛星写真をツイッターで掲載し、同潜水艦は巡航ミサイルを搭載できると明らかにした。
フィンランドとロシアの国境は長く、フィンランドは1939年11月から1940年3月にかけて旧ソ連に侵攻され、冬戦争と呼ばれる戦争を経験した。フィンランド側のデータによると、冬戦争で20万人の旧ソ連兵が死亡したという。東西冷戦時代、フィンランドは中立を保ち、NATOに加盟しなかったが、最近の世論調査では、NATO加盟を支持するフィンランド人が過半数を占めるまでに変化しているという。
CNNによると、フィンランドがロシア軍の次の標的になるのではないかという懸念が高まっているという。これに対し、フィンランドのサナ・マリン首相は13日、ストックホルムでスウェーデンのマグダレナ・アンデション首相と会談した後、記者会見でNATO加盟の加速を示唆し、フィンランドは申請の是非について、今後「数週間以内に」決定すると述べた。
フィンランド国営放送(Yle)が3月14日に発表した世論調査によると、国民の62%がフィンランドのNATO加盟を支持しているという。フィンランドの新聞最大手「ヘルシンギン・サノマット」は3月18日、フィンランドの国会議員の半数以上が、フィンランドのNATO加盟申請を支持したと報じた。
スウェーデンのメディアは、フィンランドのNATO加盟申請が、スウェーデンの申請を促すと予測している。スウェーデンの日刊紙スヴェンスカ・ダーグブラーデット(SvD)は13日、アンデション首相が6月末にスペインのマドリードで開かれるNATO会議で加盟申請を提出することを望んでいると表明したという情報を入手した。
NATOのロブ・バウアー軍事委員長は12日、「NATOは可能性のある新規加盟メンバーを排除しておらず、加盟を申請するかどうかはスウェーデンやフィンランドが決めることだ」と述べた。
(翻訳・藍彧)