中国の国有石油・ガス最大手の中国海洋石油(CNOOC)は、米国、カナダ、英国での事業から撤退する準備をしている。3カ国にある資産が西側の新たな制裁の対象になるのを中国政府が懸念しているためだ。
ロイター通信によると、中国と西側の関係は通商問題や中国での人権侵害への批判から長く緊張した状態にあった。ウクライナに侵攻したロシアに対し、中国が批判や制裁同調を控えていることも西側との緊張を高めている。米政府は先週、中国が外貨入手や国際決済網へのアクセスなどでロシアの制裁迂回を助けるなら、相応の結果に直面する可能性があると警告した。
政府直営の中国海洋石油は、2013年に米国、カナダ、英国に進出し、世界の有力生産業者に躍り出た。英国では北海、米国ではメキシコ湾のそれぞれの主要油田に権益を持つほか、カナダでは大規模なオイルサンド事業の資産もある。ロイターの試算では、合わせて石油換算で日量約22万バレルを生産している。
中国海洋石油は先月、北海最大の油田の権益を含む同社の北海資産の売却を支援するために米国の銀行を雇った。
ある業界の消息筋はロイター通信に対し、中国海洋石油が米国、カナダ、英国の「管理しにくい」資産の売却を検討していると語った。
中国海洋石油の米国での経営は、中国の幹部が米国に入る前に安全背景の審査を受ける必要があるなど、障害に直面していると同情報筋は付け加えた。「メキシコ湾の深海のような資産は技術的に難しく、中国海洋石油はパートナーと共に学ぶ必要があるが、同社の幹部は米国のオフィスを訪問することさえ許されていない」
中国海洋石油は新規公開株(IPO)の前の目論見書で、さらなる制裁に直面する可能性があると明らかにした。「将来、政策変更があった場合に、当社あるいは当社の関連会社やパートナーが米国の制裁措置の影響を受けるかどうか予測することはできない」
(翻訳・藍彧)