香港政府ナンバー2の政務長官を辞任した李家超(ジョン・リー)氏・前政務官(64)が9日、次期行政長官を決める選挙に立候補すると正式に宣言した。香港メディアによれば、候補選定に影響力を及ぼす中国政府は李氏で候補を一本化する可能性が高いという。元全国政協委員の劉夢熊氏(リュー・モンフン、74)の分析によると、これは北京が台湾に対する武力行使の準備をしていることと、香港と中国における「戦時体制」が関係しているという。李家超氏がこの時期に出馬するのは、中国共産党政権の空前の危機感と密接に関係している。
中国の国情に詳しい元全国政協委員の劉夢熊氏は、弊社とのインタビューで、中国が世界第2位の経済大国になるには、米国との関係や米国主導の西側諸国との協力が密接に関わっていると述べた。しかし、近年、双方の根本的価値観の相違、貿易摩擦、地政学的・経済的衝突などにより、中国共産党内には、米中は対立、デカップリング、衝突、さらには戦争の態勢に向かうという意見が浮上している。この考え方は、ロシアとウクライナの紛争にも表れている。
中国共産党の軍用機は近年、頻繁に台湾海峡の中央線を越えて、台湾に対する近接偵察や威嚇を行っている。最近では、米国のナンシー・ペロシ下院議長が訪台する準備をしていると伝えられた後、胡錫進元環球時報編集長が、軍用機で台湾上空に臨み、飛行禁止区域を設置することを直接主張した。
劉夢熊氏は、北京が「武官」である李家超氏を次の最高経営責任者に迎え入れたのは、間もなく現れる可能性のある「戦時体制」に協力するためだと述べた。「香港は台湾に近い。 したがって、第20回全人代以降の5年間で、台湾を武力で統一する場合、香港はいつでも台湾と戦うための軍事的プラットフォームとなり得るのである。軍事関係者を行政長官にすれば、台湾への武力統制を目指す中央政府の方針に沿って、それまでに起こりうる軍事管制に合わせやすくなる」
劉氏は、全面的な戦争準備の背景には、北京の「体制保障」に対するかつてない危機感があり、中国共産党は「権力を失うことはすべてを失うことだ」と深く恐れていると述べた。いわゆる「改革開放、一国二制度、国際金融センター」などは、すべて後回しにしなければならない。規律部隊出身の行政長官は服従性、規律性が最も強く、効率と結果にこだわる。「李家超という人自体が経済、民生、金融と直接交わることがないのは、まさに北京が今後、米国をはじめとする西側諸国との関係の決裂、デカップリング、ひいては戦争に備えていることを示している」
香港の学者である練乙錚(ジョセフ リアン、64)氏も以前、中国共産党が台湾を侵略すれば、香港は直接影響を受け、金融制裁を受けるに違いないと分析した。中国共産党はまた、香港の水深港が広く、台湾に近いことと先進的な物流の優位性を利用し、台湾に対する軍事作戦に重要なプラットフォームを構築しようとしている。今後数年間で、香港の国際金融センターとしての地位は低下し、軍事的な重要性は飛躍的に高まると同氏は予想している。このことから、中国共産党が2019年以降、香港を強力に弾圧しているのは、実は香港のすべての世論基盤を取り戻し、軍事作戦に備えようとするためであることがわかる。
(翻訳・藍彧)