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 台湾の半導体産業が世界をリードしているため、中国企業はあらゆる手段で台湾の半導体技術者や科学技術人材を引き抜こうとしている。台湾当局は、半導体分野などハイテク業界の技術者の違法なヘッドハンティング(引き抜き)の疑いで中国企業約100社に対する調査を開始した。

 中国の習近平指導部は、先端半導体の国産化を目指し、技術者の囲い込みに動いている。

 ロイター8日の報道によると、中華民国法務部(法務省)の高官の発言では、台湾当局は、台湾の半導体技術人材を違法に引き抜きした疑いのある約100社の中国企業を調査しているという。2021年に入ってから合計7社が起訴され、さらに27社が立ち入り捜査を受け、あるいは経営者が同局に呼び出されて取り調べを受けていた。

 台湾の半導体産業は、世界最先端の半導体製造能力の92%を占めており、中国で切望されているチップの専門知識も持っている。世界的なチップ不足を受け、中国当局は先端チップの自給自足を実現すると公言し、半導体業界で科学技術人材の獲得競争を激化させている。

 台湾は2020年12年に法務部内に違法な引き抜きを取り締まる専門部署を設置し、昨年初めからこれまでに7件を摘発した。

 今年3月、台湾の法務部調査局が「中国共産党による違法な人材引き抜きと機密の窃取活動」に対し、8社を家宅捜索した。

 中国企業が台湾のエンジニアを雇用するのは違法ではないが、半導体設計などへの投資は禁止され、それ以外の分野も台湾当局の審査が義務付けられている。中国の半導体メーカーが台湾で合法的に操業するのは非常に困難な状況だ。

 台湾政府は、技術系人材の違法な引き抜きに対する罰則を強化する方向で動いている。最高刑期は懲役1年から3年に、最高罰金額は5,200米ドル(約65万円)から520,525米ドル(約6,500万円)に引き上げられる予定。

(翻訳・徳永木里子)