米国防情報局(DIA)が12日、宇宙での安全保障に関する報告書をまとめ、中国共産党(以下、中共)とロシアの宇宙での軍事作戦は、米国の宇宙機器に脅威を与えていると発表した。
米紙エポックタイムズ(Epoch Times)によると、DIAは「宇宙における安全保障への挑戦 2022(Challenges to Security in Space 2022)」で、宇宙の制御権を持つことは世界の大国が現代戦争を勝ち取る上で極めて重要だと書いている。グローバル・ポジショニング・システム(GPS、全地球測位システム)からミサイル警報技術まで、人類は効率的に稼働する宇宙機器に依存しているからだ。しかし、そのため、中共とロシアの軍事・情報システムは、米国の宇宙機器を行動の目標として見なしている。その結果、中露による米国の宇宙機器に対する破壊や攻撃は、米宇宙軍にとって長期的な脅威となっている。
2019年から2021年にかけて、中露は宇宙空間の軌道上にある機器の数を合わせて7割以上増やした。また、両国は宇宙技術のあらゆる主要分野において、近代化と全面的な実力の発展を求めている。宇宙技術の実力の増強に伴い、両国は宇宙でのシナリオを組み込んだ軍事演習を実施しているとした。さらに、両国は高性能の対衛星兵器の開発、実験、拡散を続け、米国と同盟国の宇宙機器を危険にさらしている。
報告書は、中露が衛星利用測位システム(GPS)など米国のシステムへの依存を減らし、軍の有用性を高めるために、少なくとも2006年から対衛星・極超音速兵器を研究・開発し、それぞれ「宇宙軍」を創設したと指摘。2007年以降、中共軍は米国や欧州連合(EU)の衛星や宇宙産業に対するサイバースパイ活動を支援し始めた。
米国の国防・安全保障の専門家は、中共の宇宙開発計画が米国にとって直接的な軍事脅威となり、中露が共同で設立しようとする月面基地も軍事活動に利用されると警告してきた。
米宇宙軍のデービッド・トンプソン作戦副部長は昨年11月、中露が米国の宇宙機器に対するサイバー攻撃や電子攻撃を日常的に行っていると述べた。
中央情報局(CIA)や国家安全保障局(NSA)など18の情報機関を統括するアブリル・ヘインズ国家情報長官は3月に議会の公聴会で、米国に対抗する中露の協力関係は今後ますます強まるだろうと述べた。
(翻訳・徳永木里子)