マルケム・デルケフは少しだけ有名な作家です。子どもの頃の彼は、とても臆病で恥ずかしがり屋で、友達も少なく、自分に自信を持てず「自分には何もできない!」と思っていました。
1965年10月のある日、彼が通っていた中学校の英語教師・ブラウス夫人は、クラス全員に「ハーパー・リー(Harper Lee)の小説を読み、その小説の最後に自分の言葉で文章を続けて書く」という宿題を出しました。家に帰ったデルケフ少年は真面目に宿題を終わらせ、翌日、ブラウス先生に提出しました。
今では彼自身、自分が何を書いたのか、先生が彼に何点数くれたのか全く覚えていませんが、先生が彼の作文の余白に書いたひと言は、今でもはっきりと覚えています。
「良く書けていますね!」
まさにこの永遠に忘れられないひと言が彼の人生を変えました。
デルケフ氏は「このひと言を読むまでは、自分が何者で将来どんな道に進むのか分からなかった」と話します。ブラウス先生のコメントを読んだ彼は、やっと自分に自信を持てるようになりました。その日、家に帰ると彼はまた短い物語を書きました。それは彼がずっと夢見ていた事でしたが、まさか自分にできるとは思っていませんでした。
その後、彼は勉強の合間にたくさんの短い物語を書き、毎回その作品を学校に持って行きブラウス先生に渡しました。ブラウス先生はこれらの幼稚な作品に対し褒めたり励ましたりする一方、厳粛で誠実な評価をしました。ブラウス先生の行動は、まさに当時のデルケフ少年が必要としていたことでした。
やがて彼は学校新聞の編集者に任命され、それは彼の自信を倍増させると同時に視野を広げました。これによって、彼自身の成功と充実した人生が始まりました。「あの時、ブラウス先生が私の宿題の余白に『良く書けていますね!』というひと言を書いていなかったら、現在の私の存在はあり得ません」とデルケフ氏はそう確信しています。
数年後、デルケフ氏は当時の学校に戻って来て、既に退職したブラウス先生を訪問しました。そして彼は、当時のあのひと言が、彼の人生に影響を与えた事をブラウス先生に伝えました。まさにあのひと言が彼に自信と勇気を与えたからこそ、立派な作家になることができたのです。
そしてデルケフ氏は「私はオフィスに、中等学校の学位を取得するために毎日夜遅くまで勉強する一人の若い娘を受け入れたことがありました。学位を取得した彼女は私を素晴らしい作家だと感じ、私の助けとアドバイスを求めてきました。私は先生から頂いた自信と勇気を再び彼女に与え、そして今、彼女も作家になり、しかも私の妻になりました」とブラウス先生に伝えました。
ブラウス先生はこの話に深く感動しました。
デルケフ氏は「その瞬間、私はブラウス先生が私と同じように彼女のほめ言葉が、私と妻に深い永遠の影響力を与えていると気付いたと思います」と話しました。
「よく書けていますね!」
とても簡単な讃辞のひと言が、人の一生を幸せへ導きました。
(翻訳・清瑩)