米インド太平洋軍司令官ジョン・アキリーノ海軍大将はこのほど、中国共産党(以下、中共)の台湾への武力行使は「本当に起こり得る」と警告した。
フィナンシャル・タイムズ紙25日のインタビューで、アキリーノ大将は、中共がここ1年間、極超音速兵器の試射や核兵器の急速な拡大から、台湾周辺や南シナ海での軍事行動の継続的強化まで、さまざまな行動を通じてその手腕を示そうとしたと述べた。
アキリーノ大将は、露・ウクライナ戦争の教訓を汲み取らなければならないと強調した。5カ月前にロシアのウクライナ侵攻を予測できた者はいなかったのだから、「中国の台湾侵攻は本当に起こりうる」というのが第1の教訓である。第2の教訓は、自己満足しないで、常に備えをすることである。
ロシアの人権運動家ウラジミール・オセチキン氏はかつて、習近平氏が再選に突き進むために、今秋の第20回全国代表大会までに「台湾の完全占領」を検討していたとするロシア連邦保安局(FSB)の機密文書を公表していた。
米国だけでなく、台湾のアジア太平洋地域の同盟国も最近、警鐘を鳴らしている。
日本経済新聞によると、安倍晋三元首相は25日に衆議院で開かれた会合で、ロシアのウクライナ侵攻について、「遠いところで起きていることではなく、台湾に対し中国がどのような対応を取っていくかを占う意味で日本にとっても深刻な出来事だ」と述べた。
オーストラリアのピーター・ダットン国防相も同日、スカイ・ニュースとのインタビューで、深刻なドミノ効果を避けるため、北京による台湾への武力行使を阻止するよう国際社会に呼び掛けた。
民主化運動家の王丹氏もこのほど、台湾「アップメディア」でコラムを発表し、中共がロシアの失敗から教訓を得ると思ってはいけないと警鐘を鳴らした。
王丹氏は、「中共がロシアやウクライナの情勢を見ていないはずはない。しかし、中国の経済崩壊を恐れて、中共が台湾への武力攻撃をあきらめると考えるのは『中共に対する理解不足』である。中共は3000万人から4000万人が餓死しても気にしないのだから、経済制裁で自国の人々の生活が枯れることにどうして気を配るだろうか。中共は政治的な目的を達成するためなら、西側諸国からの経済制裁は気にしない」と述べた。
「台湾は、中共が台湾への武力行使をあきらめることを幻想してはいけない。軍事力を増強し、全国民が心理的に準備し、集団で抵抗する意志を高めることが台湾の安全を確保する根本的な方法である」
(翻訳・藍彧)