(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 中国共産党と関連があるアカウントからフェイクニュースが発信されていたとして、大手SNSが相次いでアカウントの削除を行った。中国共産党が国内に向けて行っていた不実のプロパガンダが、国際社会にも深刻な影響を与えていることが改めて浮き彫りになった。

ツイッターが20万アカウントを一気に停止

 8月19日、米ツイッター社は「936個のアカウントを削除し、20万個のアカウントを停止した」との声明を発表した。「これらのアカウントは中国共産党政権と繋がり、香港の『逃亡犯条例』改正案の反対運動(『反送中』運動)に関する偽の記事を多数作成し、香港市民の反対運動の正当性を損なわせていた」という。

 ツイッター社は更に「中国ではサービスがブロックされているが、最近、中国国内の特定のIPからVPN(仮想プライベートネットワーク)を利用し、グレートファイアーウォールを越えツイッターにログインした多くのアカウントからのツイートがあった」と発表。

 加えて「『国家の統制下にあるメディア』の広告を拒否するために、広告提供サービスのルールを修正した」とも発表した。

フェイスブック「これらのアカウントの背後に中国共産党政権」

 フェイスブックも同様の対応をとっており、同社は19日「7つのファンサイト、3つのサークル、5つのアカウントを削除した。これらのウェブページは香港『逃亡犯条例」改正案の反対運動に関するフェイクニュースを掲載した」と発表した。フェイスブックはこれらのアカウントと中国共産党政権の関連を疑っている。

 フェイスブックは「私たちはフェイスブックのサービスが民衆をコントロールする道具になるのを望んでいない」主張し、これらのファンサイト、サークル及びアカウントを削除したの理由を「彼らが書き込んだ内容ではなく、彼らの行動だ」と説明した。

グーグル:210個のYouTubeチャンネルを削除した

 8月22日、グーグルは動画共有サイトYouTubeの210個チャンネルを削除した。これらのチャンネルが中国政府にコントロールされ、香港「逃亡犯条例」改正案の反対運動に関する偽ニュースを大量に掲載した。

中国共産党、香港に「偽メッセージ戦」を発動

 8月10日、香港市民が尖沙咀・沙田・大埔及び紅磡などで行ったデモに対し、中国共産党の機関紙「人民日報」はWeChatで「香港社会全体が暴力停止を訴えた」と偽の情報を伝えた。また、8月9日から3日間連続して香港の赤鱲角空港で「みんなで飛行機を迎えよう。香港はあなたを歓迎する」をスローガンに平和的な座り込み集会が行われた際、中国のメディアはウェイボーに「香港市民が『安全な香港が欲しい!』とデモ参加者に対して怒号した」とする映像を掲載した。

 8月11日、一人の香港人女性が警察官にビーンバッグ弾で撃たれ、右目失明の重傷を負った。しかし、中国中央テレビCCTVは「女性が失明したのは、警察官がビーンバッグ弾を発射したからではなく、デモ隊が原因だ」と報じた。同時に写真も貼り付け「その女性が香港の歩道で他のデモ参加者にお金を渡し、他のデモ参加者と一緒に『警察に怪我をさせられた』と主張した」と説明した。

(翻訳・柳生和樹)