米アップル(Apple)の主要サプライヤーである台湾の電子機器受託製造(EMS)大手、フォックスコン(鴻海精密工業、Foxconn)が、サウジアラビアに総工費90億ドル(約1兆円)規模の工場を建設する提案書を提出した。新工場では、マイクロチップやディスプレイなどの多品種製品を生産する計画だ。
同計画では、サウジアラビアの技術開発地区「新未来都市」(Neom)に、表面実装技術開発とマイクロチップ製造の2ラインの工場を建設することが提案されている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、サウジアラビアが現在フォックスコンの申し出を検討中であるという。
フォックスコンは14日、中国広東省深セン市にある同社の主要生産ラインがコロナ感染対策のロックダウン(都市封鎖)で完全に停止し、45万人の従業員が操業停止を余儀なくされたことを発表した。これにより、フォックスコンの台湾株の市場価値は連日下落し、15日現在で累積1.77%の下落となっている。
フォックスコンは近年、中国以外の生産ラインの多角化を目指しているが、主要生産ラインの中国生産への依存から依然として脱却できないでいる。これまで、フォックスコンはインドにiPhoneの生産ラインを設立し、現在、関連運営は初期段階にある。
フォックスコンがサウジアラビアの要件をすべて満たした場合、同国政府からの共同投資や低利融資などの投資優遇措置によってサポートされる。しかし、この合意はまだ達成しておらず、情報筋によれば、サウジ側はフォックスコンの提案と他の国際企業と比較しているという。さらに、フォックスコンはサウジアラビアに加え、アラブ首長国連邦(UAE)とも工場建設の可能性を協議しているという。
(翻訳・徳永木里子)