近年、中国では高齢化や少子化など人口危機が顕著になっており、特にコロナ禍で経済的な影響が深刻化している。多くの若者が「躺平(タンピン)」しており、つまり結婚しない、子供を産まない、家や車を購入しない、生計維持のための最低限の仕事しかしない。これが中国共産党当局を悩ませている。
中国の経済紙「毎日経済新聞」6日の報道よると、全国人民代表大会(全人代)の代表、聶鵬挙氏(ケリモーターグループ理事長)は、3人の子供の出産を奨励する環境を整えるために、出産、子育て、教育、雇用の4つの分野で、さまざまな奨励・支援制度や優遇政策を実施すべきだと提案した。例えば、教育分野では、9年間の義務教育に加えて、第3子には高校3年間の教育費を免除することや、大学進学の際に地域差に応じて、奨励として10点から20点を加点するなどの措置が必要だとしている。
中国人民政治協商会議(政協)の花亞偉委員は、30歳以上の健康な女性が結婚しているかどうかにかかわらず、自主的に卵子を採取して冷凍保存し、未婚の30歳以上の不妊の女性が人工授精・体外受精の施術を受けられるようにするという不妊政策の改善案を提案した。
中国共産党当局は、「1人っ子政策」という制限から、2人目、3人目への開放と、さまざまな出産奨励策を導入してきたが、ほとんど効果がない。仕事のプレッシャー、高価な住宅、高額な教育費、医療費などの問題は、出産適齢期の国民がまず考慮する問題である。
子供よりペットの保育
中国の大手EC企業「京東商城」によると、昨年の「ダブルイレブン(毎年11月11日、中国における年間最大のECショッピングイベント)」期間中の取引量の伸び率は、ペットの売上高がトップ5に入っており、ペットのおもちゃ用品の売上も前年比10倍以上急増し、キャットタワーは3倍、キャットフードは5倍になった。
2020年には、タオバオ(淘宝網)とテンマオ(天猫)のペット食品・用品の売上高の伸び率は100%超えた。2019年はキャットフードの売上が初めて乳児用粉ミルクを抜き、輸入品のナンバーワンとなった。
2020年の中国の出生率は1000人あたり8.52人で、1978年以来の最低水準となったが、同年のペット猫の飼育数は急増した。「2020中国ペット産業白書」のデータによると、中国の都市・町における猫の飼育数は2020年に4862万匹を超え、2019年の4412万匹を10.2%上回ったという。
これらのデータによると、若者の多くが飼っているペットに感情を寄せて、寂しさを解消している。また、これらのペットの飼い主の多くは独身で、人との交際の代わりにペットを飼っている。
(翻訳・徳永木里子)