北京南苑空港(SakuragawaSara, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 マレーシア発ウクライナ行のいわゆる「避難便」がこのほど中国に戻ってきたと、中国共産党(以下、中共)の公式メディアの報道で分かった。ウクライナからルーマニアに逃げ出した中国人が、同便に搭乗時に巨額のチケット代を請求されたという噂がネット上で話題となっている。

 新華社サイトなど中共メディア5日の報道によると、ウクライナから中国人を撤退させる初の臨時便が同日午前5時41分に杭州市に到着し、午前9時46分に2機目が鄭州市に到着したという。

 他の国が自国民を避難させる際に、避難経路を手配する上、帰国までの費用は全部無料である。しかし、中共メディアは、これらの避難客が航空券を購入したかどうかについてはまったく触れなかった。

 ネット情報によると、ウクライナから逃げ出した中国人が、飛行機に搭載する際に、通常より数倍の航空チケット代を強要されたという。そのうちの多くの中国人は、中共当局が手配したバスでウクライナから撤退したのではなく、自力で苦労して逃げ出したのだ。

 SNSに投稿されたメッセージのスクリーンショットによると、ウクライナ周辺国に逃れた一部の中国人留学生が、現地の中国大使館に軟禁され、どこにも行くなと脅され、3万元(約54.5万円)やそれ以上の航空チケット代を強要され、帰国後に1万元(約18.2万円)の隔離費用を請求された。同メッセージには、どの国の中国大使館で起きたことかは明記されていない。

 また、別の中国人のウィーチャット(微信、WeChat)グループのチャット記録によると、苦労してウクライナからロマリアに脱出したが、中国に戻るには自費で航空券を購入する必要があると伝えられた。7000元(約12.7万円)だったチケット代が17999元(約32.7万円)に値上がりしていたという。戦争が勃発した後、基本的な生活でさえ難民キャンプに頼るしかない彼らは、銀行カードはもう使えなくなり、航空券を買うお金なんてあるわけがない。

 ラジオ自由アジア(RFA)の記者が4日、ルーマニアの中国大使館に電話をかけ、上記のニュースは事実だったと確認した。

(翻訳・徳永木里子)