谷愛凌(Martin Rulsch,  CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 北京五輪で中国代表として出場したハーフ選手、谷愛凌(こくあいりょう、アイリング・グー、18才)は、故意に国籍の問題を回避したことで、世界中で話題となった。

 中国共産党(以下、中共)は、科学技術の分野で用いた組織的な知的財産権窃盗の手段である「千人計画」がスポーツ界にも広がり、中共による華僑への洗脳が2世に及んでいると、指摘した人がいた。

 中共の盗用手段「千人計画」はスポーツ界にも波及

 米国で生まれ育った中国と米国のハーフ選手、谷は北京五輪の中国代表として、現在金メダルと銀メダルを獲得したが、谷の国籍をめぐる論争は続いている。谷の事件は、中共が米国の優秀な人材を「大国崛起(大国の台頭)」の武器として取り込もうとしていることを反映しているため、国際社会は警戒する必要があると、分析者が考えている。

 幼い頃から母親の影響を受けてきた谷は、3歳でスキーを始め、9歳で全米フリースタイルスキージュニア選手権に優勝し、15歳にしてすでにさまざまの大会で50個の金メダルを獲得した。2019年から各種大会で中国チームを代表し始めた。

 米国在住の時事評論家・唐靖遠(とうせいえん)氏は、谷の事件は、中共が科学技術分野で取った窃盗手段「千人計画」がすでにスポーツ界に波及していると述べた。2008年以降、中共は「千人計画」で海外の人材を募集し、海外の専門家を誘致して科学研究成果をシステム的に盗み取っている。

 「中共の海外進出の野望は、常にいわゆる『カーブでの追い越し』というやり方に基づいている。つまり、「カーブ」を活用して先進諸国を追い越すとの意味が込められている。中共自身の解釈では、外国で花を摘んで中国で蜜を醸造することである。つまり海外の優れた中国人学者の業績を賄賂や買収によって直接中国へ盗用することである」と唐氏が述べた。

 「谷のケースは、中共が賄賂を使って米国のトップスポーツ資源を買収したことに相当する。スポーツ資源は、中共によって、台頭するイデオロギー戦争を開始するための強力な武器と見なされている」 

 谷の国籍問題の物議が燃え続き、中共による華僑2世への洗脳

 谷の金メダル獲得後、彼女への注目が高まり、特に国籍問題で、中国の法律にもオリンピック規定にも反しており、彼女は米国籍を事実上放棄せずに中国国民として出場したことが疑問視されている。

 谷の国籍をめぐる論争を受け、国際オリンピック委員会(IOC)と北京冬季オリンピック組織委員会は公式ウェブサイトで、谷の英語のプロフィールを修正・削除し、「二重国籍」に関する内容を全部削除した。そのため、谷の国籍問題はさらに混乱した。

 唐氏によれば、「谷の国籍問題は、規則を悪用するという単純な問題ではなく、中共の法定国籍法、およびIOCの規定に対する直接的な挑戦である。このような行動が明らかにされなければ、IOC、さらにはオリンピック自体の公正・公平が疑問視されることになるだろう」

 「これは中共のイデオロギーと文化の浸透であり、米国に浸透する手段の1つでもある。表向きでは、規則の隙間に乗じているよう見えるが、本質的には中共が自由民主社会に浸透し、腐食することに協力しているのだ」と指摘した。

(翻訳・徳永木里子)