中国共産党(以下、中共)は15日、改正された「サイバーセキュリティ審査弁法」を正式に実施し、中国のテック企業が海外で上場するためのスペースを狭めた。
中共当局が新たに制定したサイバーセキュリティ審査規則は、昨年から注目されていた。改正のポイントとして「100万人以上のユーザーの個人情報を保有しているオンラインプラットフォーム事業者が海外で株式公開する場合、ネットワークセキュリティ審査室にネットワークセキュリティクリアランスを提出しなければならない」。その一例が、昨年6月に米国で上場した後、中共政府によって中止された配車サービス大手・滴滴出行(ディディ)への強制検閲であった。政府は、国家安全保障上のリスクに対処するためと主張した。同規則が実施された後、中国企業に対する同様の検閲が常態化することになるだろう。
同規則は中共の第20回党大会の前に出され、政府が経済分野への支配を引き締めるためのものだが、インターネット産業の存続を弱めることになったと、業界では考えられた。この状況下、中国証券監督管理委員会(証監会)は緩和な声明を発表し、企業がコンプライアンスを守って海外に上場し、海外の資金源を運用することを依然として支持すると宣言した。しかし、多重規制の対象となる中国企業のビジネス展開の見通しは、決して明るいものではない。
中国のIT産業や機械製造業に詳しい国際ビジネス開発の専門家、マイケル・フリック(Michael D. Frick)氏は、中国のテクノロジー企業は隙間で生き残らなければならないと考えている。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、中共政府の利益と企業のビジネス上の利益は異なり、政府は実際には不透明性が高いと述べた。制約が多すぎて、企業は何ができるのか、何ができないのかがわからなくなっているのが現状である。この不確実性が懸念されているという。
(翻訳・徳永木里子)