英国政界に「進出」し、英国貴族の妻となり、中国共産党(以下、中共)のスパイと疑われる李雪琳氏の話が1月30日、英国メディアによって詳しい内幕が暴露された。
英紙「サンデー・タイムズ」によると、浙江省杭州市に生まれた李氏は、1989年に英語をあまり話せないまま、ロンドンにやってきた。北朝鮮国会議長のために行ったプライベートディナーで、英国貴族院議員であるマイケル・ベイツ卿と出会い、2012年にウェストミンスター教会でベイツ卿と結婚し、「ベイツ夫人」となった。
2010年以来、李氏は年間5万ポンドを支払って、デーヴィッド・キャメロン元首相の保守派献金者クラブに入り、上流社会に加わり、「リーダーシップ・グループ」の一員となった。夫を通じて、李氏は英国議会の出入り許可証をもらった。また、ボリス・ジョンソン首相と親交があると報じられた。
英国政界で活躍している李氏の経歴は、 英国メディアによると、李氏は「中国共産党の工作員」として活動した疑いがあると指摘した。理由は、2019年5月、北京の人民大会堂で5年ごとに開催される中共「海外友好協会(Cofa)」の理事会に出席し、「理事」という肩書きも与えられたことにある。同会は、世界各地で情報収集や中共政策の宣伝を行う国家機関である統一戦線工作部の一部である。
中共の公式メディアの報道によると、習近平氏、王毅氏らが同会に出席した。中国中央テレビ(CCTV)で放送された番組で、習氏は李氏と握手を交わした。
2015年10月20日、習氏は英国議会での演説でベイツ夫妻にわざと言及し、「中英友好人士」と称した。
公開されたデータによると、李氏は駐英中国大使館との関係も緊密であるという。2019年12月、当時駐英の劉暁明大使は、ベイツ夫妻の中国滞在時のドキュメンタリー上映会を開催し、ロンドン大使館で3人が一緒に写った写真を掲載した。劉大使はまた、ベイツ夫妻が「習近平思想」を広めようとしているとツイートした。
オーストラリアの中国専門家であるクライブ・ハミルトン氏と、ジャーマン・マーシャル財団(GMF)のマレイケ・オールバーグ氏が共同で新著『ヒドゥン・ハンド ~中国共産党がどのように世界の形を変えているかを暴く~』(隠された手)を出版した。同書の中で2人の著者は、李氏が「中国情勢に大きな影響を与える人物」「中共に信頼されている人物」であると指摘した。
同書では、中共の対外友好協会が、中共の統一戦線戦略を推進する組織であり、世界各国の政界、財界、メディア、学界のエリートを抱き込み、欧米の「役に立つバカ」を募集していることにも触れた。
(翻訳・徳永木里子)