中国のトップ大学である北京大学が最近発表した研究報告書が注目を集めている。それは、米中テックがデカップリング(切り離し)した場合、中国の方がより甚大な損失を受けるからだ。
北京大学国際戦略研究所が1月31日、「米中テック競争」と題される研究報告書を発表した。研究チームは、情報技術、人工知能、航空宇宙などの分野において、中国と米国の技術力の比較、金融投資、人材争奪、技術基準の競争、及び「テックデカップリング」などの現状と課題について、系統的な調査を行った。
同研究では、デカップリングによって両国とも被害を受けるが、中国の損失は米国よりもはるかに大きいと結論づけた。また、真空技術、チップ製造、人工知能、IT産業など、複数の重要な技術開発において、中国はボトルネックに陥る可能性がある。
「近年、中国は総合的な技術力が徐々に高まり、影響力のあるテック大国となっている。しかし、中国がテック大国からテック強国になる道のりはまだまだ長い。技術力では、範囲と格差のいずれも、米国が依然として世界をリードしている」と、同報告書では率直に述べた。
また、中国が特定の細分化技術分野で急速に発展し、世界の先進レベルに追いつこうと努力しているが、「一部の細分化分野での劣勢は依然として明らかで、技術の空白とボトルネットが存在している」とし、「対照的に、米国はより包括的な分野でリードしており、技術の蓄積が深い」と指摘した。
米国が今後、中国との間で「正確なデカップリング」と「正確なリンク」という戦略を採用する可能性が高いと研究チームが考えている。つまり、特定の戦略的技術分野を選択し、デカップリングとリンクの精度を高め、国家安全保障、経済利益、及び技術的優位性でバランスを取る努力をするだろう。これは中国のIT産業には「大きな衝撃」を与えるが、米国のIT産業にはあまり影響はないだろう。
報告書は最後に、「中国と米国は出発点はそれぞれ異なるが、共通の目標に向かっており、客観的に双方向のデカップリングの傾向を促した。技術面と産業面のいずれにも、米中双方がデカップリングによる損失に直面するが、現状からみれば、中国の損失がより甚大だろう」と結論づけた。
(翻訳・徳永木里子)