このほど、オーストラリアのスコット・モリソン首相の中国チームは、同氏のウィーチャット(微信、WeChat)アカウントがハッキングされ、中国共産党(以下、中共)の政策を宣伝するアカウントに変わっていることを明かした。
英紙デイリー・テレグラフによると、ウィーチャットはオーストラリアの中国人コミュニティにとって主要なコミュニケーション・プラットフォームである。モリソン首相は中国系オーストラリア人とのコミュニケーションを円滑にするため、中国にいるスタッフを通じてウィーチャットの個人アカウントを申請した。首相のアカウントは7万6000人のフォロワーがいるという。
しかし、今年1月上旬、モリソン氏のチームは、同アカウントが「豪中新生活」に改名され、首相の写真が削除されていることを発見した。
実は、2021年7月から今年1月10日まで、関係者は同アカウントにログインできなくなっており、公式に何度も訴えてきた。その後、アカウントがハッキングされて名前が変わったことが判明した。同アカウントのフォロワーには、同氏のアカウントをすぐフォロワー削除し、見知らぬアカウントをフォローするようにというメッセージが送られた。
中国のテック大手テンセント(騰訊、Tencent)社傘下のウィーチャットは、常に中共の監視と検閲を受けているため、今回のハッキング被害に対し、豪議会の情報・安全保障委員会のジェイムズ・パターソン会長は怒りをあらわにした。
「中共は、オーストラリアの中国人コミュニティが使用する最も広範な通信ルートから首相を追放し、中国系オーストラリア人とのコミュニケーションを妨げようとしている。外国の権威主義政府が我々の民主主義に干渉し、オーストラリアでの公開討論の条件を設定することは許されない」と、パターソン氏が批判した。
(翻訳・徳永木里子)