中国河南省禹州市のある女子高生が18回ものPCR検査を受けて陰性となったにもかかわらず、家に帰ることができず、彼女は母親と雪の中で一夜を過ごさざるを得なかった。

 中国SNS大手のウェイボー(微博、Weibo)に投稿された動画には、同女子高生の母親が22日午前5時頃に撮影したもので、親子が窮状に陥った当時の様子が映っている。夜中で地面には厚い雪が積り、空からさらに雪が降っている中、親子は屋外で一夜を過ごさなければならなかった。

 娘が禹州市第一高校に通っており、学校で18回のPCR検査で陰性だったため、帰宅するよう言われた。娘が21日午後6時頃「PCR検査の陰性証明書」を持って帰宅しようとしたところ、自宅団地が高リスク地区であるため、団地入口の防疫スタッフに止められて、入れてもらえなかった。家に帰れないため、仕方なく母親は娘を迎えに出かけ、娘と合流してから徒歩で祖母の家に連れて行き、一晩泊めてもらうつもりだったが、なんと、祖母が在住している団地の防疫スタッフにも入れないと言われた。母親は、娘が低リスクの地域から来たため、先に帰らせて自宅で隔離すると防疫スタッフに頼んでも、結局断られた。

 母親は管理部門や学校側の関係者などに連絡を取ったが、夜中の2時過ぎまで各防疫検査部門に責任回避され、対応を拒否された。

 親子が泊まるところもなく路頭に迷う中、母親は泣きながら次のように訴えた。

 「先に帰らせて、自宅ドアに封印シールを貼っていただくか、あるいは自費でもいいから検疫所に行く必要があればそうする、と防疫スタッフに頼んだが、『ダメだ、学校の先生に連絡しなければならない』と言われた。先生に電話したが出なかった。朝5時過ぎまで娘と一緒に屋外に立っているしかなかったが、娘が「お母さん、寒いから休ませて」と言う。私は、『自家用車を出して、娘を車に座らせて休ませても良いか』と防疫スタッフにお願いしたら、『いい』と許可された。娘は生徒で、PCR検査の証明書を持っていると、はっきり伝えている。家に帰って、ドアに封印シールを貼って、自粛隔離すると頼んでも、このような状況でも許可されなかった。結局、前の晩8時から翌日朝の5時過ぎまで、雪風の中で一晩立たされた。すべての教訓は、命を犠牲にしなければ教訓にならないというのは、あまりに残酷ではないだろうか。このような過酷な環境の中で、もし娘に何かあれば、それは誰しもが心底から望まない結果になるでしょう。法の執行部門なんだから、融通を利かせることはできないが、法理と人情という両方を考えたら、人を優先するべきでしょう」

 中国タブロイド紙「新京報」の創始者である余平氏は、自身のWeChatアカウントに次のような文章を投稿した。 

 「この事件には、形式主義的な柔軟性と一律的な硬直性が実に大きく含まれている。形式主義の抜け穴は当然ながら疫病のリスクを高めるが、硬直した機械的な疫病対策は、より直接的に国民の権利を傷つけるのは間違いないだろう。画一的な政策の問題の根源は、その実施よりもむしろその策定にあるという。機械的な防疫が行われた場合、その責任を取るのは草の根の防疫担当者であり、政策を策定する上層部は手をこまねいていることが多いのである。このような責任回避は、問題の解決ではなく、問題の回避であり、あらゆる画一的で非人道的な防疫が続けられるだけであり、国民は過剰な防疫の代償を健康や命でまでも負担しなければならないのである」

(翻訳・徳永木里子)