英議会(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 英国内で治安・情報収集を担う保安局(MI5)はこのほど、中国系英国人弁護士・李貞駒(クリスティン・チン・クイ・リー)が中国共産党(以下、中共)の代理人として、英議会に秘密裏に浸透し、英国の政治に干渉していることを明らかにした。

 MI5からの警告によると、長年英国で弁護士を務めてきた李が、現職国会議員や国会議員への立候補に関心を持つ人々と「つながり」を構築し、中国人や香港人からのお金を英国の政治家に献金していた。

 李は英国で注目されている人物であり、ロンドン、バーミンガムと北京にクリスティン・リー法律事務所を構え、駐ロンドン中国大使館の首席法律顧問を務めている。

 英メディアによると、10数年前、中共が英国と「黄金時代」の関係を築いたとき、李は英国の高官に高く評価されたという。例えば、中共の代表団や政治要人が英国を訪問した際、英議会に李が共にすることが多かった。2015年に習近平国家主席がデーヴィッド・キャメロン元首相の招きで英国を訪問した際も、李の姿が見られた。

 李は中共政権とのつながりを隠したことはない。同法律事務所のホームページには、中共大使館の法律顧問であることが書かれているし、中国公式メディアでも報道された。

 タイムズ紙によると、李は中共への「貢献」を理由に、習近平氏や李克強氏などから謁見されている。同紙が掲載した集合写真では、習氏の後列の右隣に立つ李が、高官たちと一緒にいる姿が写っている。

 MI5の警告によると、李は「英国内の中国人を代表し、多様性を促進すること」を掲げて政治活動に取り組んでいるだという。MI5は、李の活動は「(中共の)宗教や少数民族政策を担当する中央統一戦線工作部と密かに連携し、中国人や香港人が資金を提供していた」と指摘した。

 英国保守党の国会議員で元党首のイアン・ダンカン・スミス卿は13日、下院でMI5の警告について質問し、議長が同警告を国会議員に電子メールで送信したことを確認した。「深刻な懸念事項」であるとし、李を国外に追放することを呼び掛け、政府による下院での説明を求めた。

 BBC放送などによると、李は最大野党労働党のガーディナー下院議員に対して計約42万ポンド(約6500万円)を献金した。

(翻訳・徳永木里子)