習近平氏(Kremlin.ru, CC BY 4.0 , via Wikimedia Commons)

 中国共産党(以下、中共)第20回党大会では、習近平氏の再任や中南海の高官人事などが注目されている。その手配や報告書、人員配置などについては憶測が飛び交い、正式な内容は明らかにされておらず、第20回大会は謎に包まれたままとなっている。

 第20回党大会の過程は謎

 海外中国語サイト「多維新聞(ドゥオウェイニュース)」23日の北京オブザーバーコラムに掲載された「中共第20回党大会の神秘のベール」と題する記事によると、中共第20回党大会は習氏の3期目の就任と中南海のトップ層の交代を伴うが、これまで中共の公式宣伝は「総選挙の規律」など第20回党大会の政治スローガンのような空虚なメッセージを強調し、具体的な流れは不明のままだという。

 同記事によると、第20回党大会では、中共の高層が交代し、習氏が総書記に再任されるかどうかなど、外部にとって関心の高い事項が含まれているとのこと。中共は常に敏感な情報を秘密にしているため、第20回党大会の報告書起草チームのリストと起草チームの全体会議が遅れて披露され、リアルタイムで発表されないことは確かなようだ。そのため、第20回党大会については、「進行中」という抽象的な概念を除けば、準備過程や大会報告書、中共代表の選出内容(人事配置)など、具体的な情報は一切発表されていない。

 海外メディアを悩ませる習氏の「不確定性」

 オーストラリアのベテランジャーナリスト、儲百亮(Chris Buckley)氏は14日付の「ニューヨーク・タイムズ」で、習氏が自ら設計した不確定性に包まれており、彼がいつまで権力を握るつもりか、いつ、どのように後継者を任命するのかは誰にも分からない、これは習氏好みのやり方だと述べた。

 人々に推測させることで、自らに対する忠誠を高め、後継者候補を判断する時間を稼ぐことができるという。

 儲氏の予測では、中共の第2権力層である政治局の人事異動の可能性がある。政治局委員の退任により11人の空席ができ、習氏はそれを利用して、50代から60代前半の「忠誠心」のある幹部たちを地方指導者に抜擢することができる。

 しかし、次期指導部の決定に関しては、習氏が本当に好き勝手にできるわけではないと、儲氏は書いた。政治的に上手くいっても、誰を引退させ、誰を昇進させるかは難しい選択だ。

(翻訳・徳永木里子)