カザフスタンでの大規模な騒乱を受け、同国と密接な関係にある隣国ロシアが鎮圧のために軍隊を派遣した。政情不安に乗じ、中央アジアでの勢力拡大を狙うとみられる。
中央アジア最大の国、カザフスタンでは、燃料価格の高騰をめぐり、各地で大規模なデモ抗議を引き起こし、さらに騒乱が起きている。ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官は8日、ロシア連合軍がアルマトイ国際空港やロシア総領事館などカザフスタンの重要拠点の安全を掌握し、法秩序の維持のためにカザフの法執行機関を支援していると発表した。
ブリンケン米国務長官は8日、カザフスタンとウクライナの事件は異なるが、ロシア人がいったん進入すれば、離れてもらうのが難しい場合があることは、歴史が教えてくれていると述べた。
ロシアのプーチン大統領が今回、ロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)の名義で「平和維持部隊」 をカザフスタンに派遣して弾圧したことについて、台湾淡江(たんこう)大学外交部部長である鄭欽模(てい・きんも)氏は「希望之声」の取材に対し、カザフスタンの外交は常に中国とロシアの間でバランスを取っていたが、中国共産党政権が経済援助や一帯一路でカザフスタンを縛ったため、ロシアの影響力が徐々に弱まってきたと述べた。中国共産党の政治的・経済的影響力が低下している今、プーチン氏は今回の介入を利用して、カザフスタンに対するロシアの影響力を高めようとしている。
鄭欽模氏は、ウクライナとカザフスタンでの出来事は、プーチン氏が米国と中国の影響力の衰退に乗じて、ロシアの安全保障空間を徐々に再構築する(ソ連時代の勢力圏を再構築するとも言われる)ためのものだと指摘した。カザフスタンは新疆ウイグル自治区の東トルキスタンの独立運動に影響を与える地政学的に重要な国であるだけでなく、石油・ガス資源やウラン鉱山も豊富なので、プーチン氏はこのチャンスを逃すはずがないだろう。
台湾の政治経済評論家の呉嘉隆氏は「希望之声」の独占インタビューで、カザフスタンは中国共産党の一帯一路の要衝に位置しており、中央アジア5つの共和国を基本的に全て確保した一帯一路はロシアの領土に侵入していると指摘した。そのため、プーチン氏は習近平氏の一帯一路に不満を持っているが、表向きは沈黙している。今回のカザフスタンの騒乱に乗じてロシア軍が介入し、場合によってはカザフスタンを引き戻し、習近平氏の一帯一路に封鎖効果をもたらす可能性がある。
カザフスタンに派遣されたロシア軍:
#Russia‘s military shipments to #Kazakhstan continue pic.twitter.com/fUrx8mjw1W
— Zeitung (@Himat75) January 6, 2022
(翻訳・藍彧)