中国共産党(以下、中共)政権がソーシャルメディア利用者のデータを収集し、警察や軍などの政府機関に提供していることがこのほど、明らかになった。
中共政権が膨大なデータ監視ネットワークを持っていることはよく知られているが、当初は国内のネットワークをスキャンし、機密性の高い政治情報を収集した。また、米紙ワシントン・ポスト2021年12月31日付の報道によると、同紙の記者が数百の中共政府のビジネス契約書と企業文書を精査した結果、政権が主要なソーシャルメディアのプラットフォームから海外ユーザーのデータを収集できるハイテクソフトを発注していたことが分かった。
中共政権が購入したソフトは、30万ドル(約3460万円)の「世論分析ソフト」である。同ソフトは、Facebook、Twitter、YouTubeからデータを収集し、著名な外国人ジャーナリスト、トップ学者、政界・財界・メディア界のキーパーソンのプロフィールを構築することができる。自動的に収集されたデータはサーバーに保存され、中共の幹部が閲覧できるようになっている。TwitterもFacebookも、事前の許可なくこのようなユーザーデータの収集を行うことを認めない。
同報道によると、中共政権はまた、海外のソーシャルメディアのアカウントにも出資し、警察や宣伝機関が運営している。これらのアカウントのオンライン活動のために多数のスタッフを配置し、小型自動化プログラムを購入し、数十万ドルもかかる大規模なプロジェクトを実行するためのキャンペーンに資金を提供している。
「大紀元時報」2020年6月2日の報道によると、中共政権のネット上の「五毛党」(ネット水軍)は毎年4億5000万件の偽メッセージを発表している。2019年の香港「反送中運動(2019年−2020年香港民主化デモ)」では、中共は「五毛」を大量に送り込み、TwitterやFacebookなどのSNSで、運動に関する本当の情報を隠蔽して「反送中運動」を中傷していた。
中共によるネットの監視と制御は、人工知能とビッグデータを通じて政権の対外宣伝を改善するためのものである。 中共の公式メディア「中国日報」は2020年の入札関係書類で、「米中貿易協議と香港暴動を背景に、世論報道戦の難しさと必要性がますます明らかになりつつある。米国や欧米のメディアと競争しており、言論戦が始まっている」と指摘した。中国公式新聞によると、2014年に少なくとも200万人が網絡評論員(インターネットコメンテーター)として働いていたという。
米国ジャーマン・マーシャル基金(GMF)の上級研究員であるマレイケ・オールバーグ氏は、ワシントン・ポスト紙のインタビューで、中共は現在、国内ネットワークの監視の一部を調整し、海外ネットワークの監視に振り向けていると指摘した。中共の国内監視の規模や監視員の数を知れば、怖いと思うはずだと述べた。
(翻訳・徳永木里子)