2021年、ヨーロッパのバルト海沿岸に位置する人口300万人足らずの国リトアニアは、中国共産党(以下、中共)と公然と対峙を繰り返してきました。中国と中東欧17カ国の経済協力枠組み「17+1」から離脱し、中共による新疆ウイグル人への弾圧を「ジェノサイド」と認定し、「台湾」の名を冠する出先機関の設立や、北京冬季オリンピックへの「外交的ボイコット」など、すべて中共の逆鱗(げきりん)に触れる行動と言えます。そして、中共の政治的・経済的報復を受けても、リトアニアを屈服しませんでした。リトアニア国会議員のDovilé Sakaliene(ドヴィレ・サカリエネ)氏は昨年12月26日、ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)とのインタビューで、リトアニアが中共と対峙し、民主的人権を擁護する理由を表明しました。
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リトアニアは民主・人権の原則を堅持
リトアニアが「欧州での北京最大敵」と称されたことに対し、サカリエネ氏は、リトアニアが外交危機の誘発や、両国の外交関係の弱体化を望んでいない事を強調し「我々はただ冷静に、越えてはならないレッドラインがあると言っているだけだ。台湾問題と新疆ウイグルの人権問題において、中共が他国に対し、その行動を是認させようとするのは容認できない。」と述べました。
リトアニアが首都ヴィリニュスに「駐リトアニア台湾代表処」の設立に同意し、その後中共による政治および経済的な圧迫を受けたことに対し、同氏は、台湾の代表処設立は「一つの中国」の原則に反しておらず、首都台北のみならず、全ての台湾人を代表していると述べました。
またサカリエネ氏は、中共が国際協定を破り、香港人とウイグル人の自由を抑圧するのを見て、リトアニアは慎重になることを選択しました。旧ソ連の共産主義支配の経験から、リトアニア人は強力なプロパガンダは犯罪を隠蔽できることを知っており、中国(共産党)が反体制派をどう扱うかを見たので、「私たちが民主主義の隅々まで守るのは当然だ」と説明しました。
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リトアニア国会議員、中共に対抗すべく民主主義諸国の団結を呼びかけ
サカリエネ氏は人権問題への取り組みから、中共政権の「欧州諸国への制裁リスト」の中の10人に含まれています。この事について、リトアニアは人口300万人の小国であるが、リトアニアの総人口の3倍にあたる1000万人以上のウイグル人が迫害され殺されており、「私は黙っていられない」と説明しました。また、共産党がしばしばプロパガンダを利用し、強大な国でさえも抵抗し難いイメージを作り出していますが、民主主義国がより強くなるために「我々は一致団結しなければならない」と同氏は呼びかけました。
今年5月、リトアニアが中共主導の経済協力枠組み「17+1」からの離脱を決めてから、両国間の緊張が高まってきました。リトアニアが離脱を選択した理由について、サカリエネ氏は「中共が「17+1」を通じて各国の分断を図っている」と説明し「中共の手口が、分割統治・分割強要・分割抑圧であると学んだ。リトアニアは、EUと中共が協議するより透明性の高いもう一つのモデルに傾いている」と述べた。
リトアニアが北京冬季オリンピックへの外交的ボイコットを表明したことについて、サカリエネ氏は「道徳的な選択である」とし、「何千人もの人々が教育キャンプや強制労働に苦しんでいる中、中共政権が主催する活動に参加することは、いかなる民主主義国家にとっても容認できないことだ」と主張しました。
「リトアニアが中共と対立したのは、中共が投資の約束を果たしていないことへの失望もあったのではないか?」という質問に、サカリエネ氏は「そうです。 リトアニアも中国からの投資を夢見ていた。しかし、アフリカなどの国が中国への過度の依存のために、中国共産党が課したゲームのルールに従わざるを得なくなったのを見た。幸いリトアニアは中国からの投資が微々たるもので救われた」と語った。
対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)のメンバーは、「リトアニアが小国であることは認識しているが、全ての大合唱は小さな声の集まりだ。だから私たちは小さな声も聴くように努力しているのです」と強調した。
バルト海の小国が、なぜ中共に立ち向かえるのか?
大紀元のコラムニスト王有群博士は、リトアニアが中国共産党と公然と対立できる理由を5つ挙げました。
一つ目の理由は、リトアニアが共産党の本質を深く理解しているからです。リトアニアは、50年近く旧ソ連共産党に支配され過去を持ち、共産党の悪行、迫害を忌み嫌っています。
二つ目は、リトアニアの外交が価値観主導であるということです。現在のリトアニア政権連合は、「価値観に基づく外交政策」を行い、「人権と民主的自由の侵害に積極的に反対し、ベラルーシから台湾まで、世界中で自由のために戦う人々を守る」と明言しました。
三つ目は、リトアニアにはEUとNATOの後ろ盾があることです。
四つ目は、新型コロナの流行で欧米諸国が中共の本質を認識し、米国と同盟国が包囲網を展開しており、全世界の状況が根本的に変化しているからです。
五つ目の理由は、リトアニアが中共の経済制裁を恐れていないからです。リトアニアの対中輸出は過去10年間で8,100万千米ドルから3億5700万米ドルに増加しましたが、リトアニアの輸出市場において中国は22番目に位置しています。リトアニアの中国からの年間輸入額は18億米ドルですが、中国から輸入している物のほとんどは他の国から購入可能です。
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当時、リトアニアは旧ソ連を恐れず、旧ソ連15の共和国の中で最初に独立を宣言し、ソ連解体への先制弾となりました。その後1991年、旧ソ連は崩壊しましたが、2021年のリトアニアと中国共産党の対立は、ソ連崩壊の再現、つまり中共の崩壊につながるのでしょうか。
(翻訳・北条)