チベット人僧侶(Antoine Taveneaux, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 中国共産党(以下、中共)当局は去年12月、四川省カンゼ・チベット族自治州にある高さ約30メートルの仏像を取り壊す際、チベット僧侶や地元住民に現場に立ち会わせたことが明らかになった。現地のチベット人は、1966年から1976年までの文化大革命の再現のようだと振り返った。

 ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、中共当局は同自治州にある高さ99フィートの仏像が、「高すぎる」という理由で取り壊した。当局は同仏像のほかに、チベット人の巡礼者やその他の信者が使う伝統的なマニ車45個をも破壊したと、情報筋が述べた。

中共当局は去年12月12日から21日までの9日間、仏像とマニ車を取り壊す際に、トーサム・ガツェル寺の僧侶と近隣の町に住むチベット人を強制的に解体作業に立ち会わせたという。

破壊された仏像(Tibet.netより)

 匿名希望の地元のチベット人は、「見物人が写真や動画を撮ったり、騒ぎを起こしたりしないように、多くの警察官が警戒していた」「他の村のチベット人たちまで強制的に連れてきて、取り壊しを見させた」と語った 。

 現在、同仏像は完全に破壊されている。中共当局によると、地元のチベット人たちに「教訓」を与えるために、解体作業を見させたという。

 匿名を条件に語った別のチベット人は、中共当局が同仏像と近くに建てられたマニ車を「非常に無礼な方法で」破壊したと述べた。 「中共政府がチベットの伝統的なものをすべて破壊し、まるで文化大革命のようだ」と語った。

 もう一人の地元のチベット人は、地元の人たちが出した資金で、総工費約630万米ドル(約7.3億円)がかけられ、2015年10月5日に完成した地震に強い仏像だと、明かした。当時、仏像の建設は地元の中共当局に全面的に認められていたが、仏像を建てた後、当局が「高すぎる」という理由で、許可を取り下げたという。これはチベットの宗教と文化を根絶することで、チベット人のアイデンティティを完全に破壊することに等しいという。

(翻訳・徳永木里子)