1300万人の人口を持つ陝西省西安市がロックダウン。2020年の武漢ロックダウン後の光景を彷彿させるできごとである。独立記者である江雪さんは4日、西安ロックダウン前から1月3日まで「ロックダウン10日間」という日記を発表し、世間から注目を浴びた。同日記は西安版「方方日記」(または武漢日記)とも呼ばれている。
日記の内容を一部紹介する。
「西安は12月27日に規制強化し、元々『2日に1回の買い出し』も廃止され、いかなる人もコミュニティを出入りすることができなくなった。コンビニのウィーチャットグループのQRコードスを携帯でスキャンしてからようやく、これが今後『唯一依存できる生活必需品補充のツール』であることに気づいた」
西安では12月21日にはすでに配達サービスが停止し、人々はオンラインショップからもほぼ購入することができなくなった。オンラインショップでは注文者が西安に住んでいれば配達することができず、あるいは『配達員はこれ以上注文を承りかねます』の表示のみ。たとえ注文ができて支払いが完了したとしても2日経っても届かないこともある。31日にようやくロックダウン後はじめて食材が手に入ったという。
江雪さんは、一部「ただの食材を手に入れた」、「供給が十分である」と称するコミュニティはすべて政府関係者のこねがあることに言及した。全市の運輸がストップしている中、1300万人の大都市が一部のスタッフやボランティアの食材配達でまかなうことは可能だろうか。全市外出禁止となれば、物資がいかに十分でも、公式メディアがいくらうまいことを言っても、一般人には関係ない話だと指摘した。
また、江雪さんによると、かつての知り合いが公式の「社会面(の感染者)ゼロ」というスローガンを賞賛し、「西安には勝利という選択肢しかない‥‥‥」などのコメントを残した。しかし、「西安は勝利しかないはまさに空言に過ぎない」、似たようなスローガンには「我々はいかなる代償も惜しまない」があるが、よく考えてみると、「われわれ」とは誰のことを指しているのか、実際の我々は「代償」ではなかろうかと江雪さんは疑問を呈した。
文末は「事件の後に省みず、血の涙の教訓を学ばず、謳歌することだけに忙しければ、人々の苦難は何の意味も残さない」と綴られた。
江雪さんは、1974年に甘粛省生まれで、1996年に西北政治法学院行政法専攻を卒業した。法界も考えたが、中国の法体制は評判が良くないため新聞界を選んだという。かつて華商報主席記者、評論部主任、財新メディアの記者を歴任し、今は独立記者である。
(翻訳・北条)