ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領(Ministério da Defesa, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)

 南アジアのスリランカは、過去2年間に新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)の流行に見舞われ、観光収入が激減し、インフレは過去最高を記録した。同国は現在、深刻な財政的及び人道的危機に直面しており、政府は2022年までに破産する恐れがあると、英紙「ガーディアン」が2日に報じた。

 「ガーディアン」によると、スリランカの深刻な財政難は、コロナの流行に見舞われただけでなく、その要因には中国政府の巨額な債務の返済も含まれている。現在、外貨準備高は10年ぶりの低水準を記録した。政府が紙幣を印刷して借金を返済していたため、インフレを引き起こした。

 世界銀行の推計によると、スリランカでコロナが発生して以来、同国の貧困ラインを下回る人口は50万人増加したという。昨年11月のインフレ率は11.1%に達した。物価が高騰したため、多くの家庭は食事を確保することすらできない。

 スリランカのゴタバヤ・ラージャパクサ大統領は昨年9月、スリランカが経済危機に陥ったと宣言した。その後、米や砂糖などの生活必需品は政府の公的価格で販売しなければならない権限を軍に与えたが、効果は限られている。

 首都コロンボに住んでいるアヌルッダ・パラナガマさんは、運転手の仕事以外に別のアルバイトをやっているにもかかわらず、車のローン返済や高騰する物価に悩まされている。「車のローンを返済するのはとても大変。光熱費と食費を払ったら、もうお金がないんだ。一家の食事は1日3食から2食に減った」と語った。

 パラナガマさんによると、顧客が大容量パッケージの食品を買う余裕がないため、多くの店が1キログラム入りの食品を100グラムパッケージに小分けして販売していると述べた。

 スリランカの観光産業は、もともと国のGDPの10%を占めていたが、ここ2年間はコロナの流行で大きな損失を被った。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のデータによると、スリランカではコロナ禍で20万人が失業している。

 実際に、膨大な対外債務もスリランカの喫緊(きっきん)の課題の1つである。スリランカはもともと中国に50億ドル(約5800億円)の債務を負っていたが、昨年は財政難のため、さらに10億ドル(約1150億円)を中国から借り入れた。今後の1年間で、スリランカは73億ドル(約8460億円)の国内外債務の返済をしなければならない。そのうち、5億ドル(約580億円)の債券は今月中に返済される予定である。しかし、昨年11月時点のスリランカの外貨準備高はわずか16億ドル(約1855億円)しかなかった。

 同国のハルシャ・デ・シルバ野党議員(経済学者)が国会でこのほど、今年の2月から10月までの間に48億ドル(約5564億円)の対外債務を返済しなければならず、来年には外貨準備高がマイナス4.37億ドル(約507億円)に達し、その後、国は完全に破綻すると発言した。

(翻訳・徳永木里子)