クリスマスプレゼント、メモには、「外国人に媚びるな、過去を忘れるな、長津湖の戦い(注)を思い出せ、当時の革命殉国者を思い出せ、彼らはクリスマスイブに何を食べたか?」と書かれている。(ウェイボーより)

 中国共産党(以下、中共)当局は近年、「外国の祝日を祝う」行為を取り締まるようになった。クリスマスの日に、ネットユーザーが面白い体験を語った。

 あるネットユーザーがこのほど、ウェイボー(微博、Weibo)に「メリークリスマス、クリスマスプレゼントとして会社からジャガイモを貰った」と投稿した。投稿された写真には、英語で「メリークリスマスと新年おめでとう」と書かれたクリスマスカード、プレゼントを入れる箱、ジャガイモ1個と1枚のメモが映っている。メモには、「外国人に媚びるな、過去を忘れるな、長津湖の戦い(注)を思い出せ、当時の革命殉国者を思い出せ、彼らはクリスマスイブに何を食べたか?」と書かれている。

 現代社会では、クリスマスのお祝いはキリスト教徒から社会のあらゆるところに広がっている。しかし、近年、中国の多くの地域では、外国の祝日を禁止している。一部の地域では、公的広場に飾っているクリスマスツリーを倒し、大量の警察官を配置してクリスマスを祝うことを禁止するなどの奇抜な現象が起きている。

 中国各地の学校は、クリスマスやイブを祝うイベントを禁止する通知を出した。キリスト教などの「西側の価値観」の浸透を警戒する中共指導部の意向を受けた措置とみられる。

 中国西南部貴州省黔西市(けんせいし)の教育当局は23日、地元の学校に対し、クリスマスやイブを祝うイベントを禁止する通知を出した。幼児を含む生徒が各教会で「小さな天使」などの役を演じること、生徒が教会に入り聖譚曲(せいたんきょく)や賛美詩を歌うなどの宗教活動に参加することを厳禁する。

 中国広西チワン族自治区融安県の教育局は24日までに、幼稚園や小中学校でクリスマスを祝うイベントを禁止する通知を出した。教育局は20日付の通知で「西洋の祝日が、わが国の伝統文化に打撃を与えている」と強調。教師や児童らが学校内外で西洋の祝日を祝うイベントを禁じるとし、発見した場合には公安局に通報するよう呼び掛けた。

 黒竜江省ハルビン市の勝利小学校も23日、保護者や教員、児童に宛てた「西洋の祝日を過ごすことを拒絶する」提案書を公表した。

 時事評論家の劉鋭紹氏によると、中共は国内のイデオロギーをコントロールするのに影響を与える祝日や組織を弾圧しており、クリスマスとキリスト教はその1つに過ぎないという。中共当局はクリスチャンがクリスマスの間に勢力を結集し、中共と相違する自由・平等の思想を宣伝することを恐れている。さらに、中国で地下キリスト教やカトリック教の教徒が急速に発展し、人数も多いため、一層クリスマスを弾圧している。これはまさに中共の自信が欠けていることの表れだと、劉氏は考えている。

 注:長津湖の戦いは、1950年11月27日から12月11日にかけて、朝鮮戦争で中国軍(人民志願軍、人民義勇軍ともいう)と米軍主体の国連軍との戦闘である。現在の朝鮮民主主義人民共和国咸鏡南道長津郡長津湖周辺で行われた朝鮮戦争の戦闘の1つである。国連軍と中国人民志願軍が初めて交戦した戦い。

(翻訳・徳永木里子)