中糧集団が持つ食糧貯蔵庫(ネットより)

 中国が世界から食糧を買い集めたことで、物価を高騰させ、より多くの国を飢餓に陥れている。

 中国東北部の遼寧省大連市の中心部から湾を隔てた対岸の港に、巨大なサイロ(食糧貯蔵庫)がずらりと立ち並ぶ。その数およそ310基。国有企業の食糧大手、中糧集団(コフコ・グループ、COFCO)が持つ食糧貯蔵庫である。大きいものは直径32メートル、高さ約46メートル、厚さ約40センチのコンクリートに覆われている。サイロ群の総容量は200万トンで世界最大級だ。中国内外から仕入れた大豆などをここで保管し、鉄道や船で全国各地に出荷している。

 中国国家食糧・物資備蓄局食糧備蓄司の秦玉雲(しん・ぎょくうん)司長は11月、中国が歴史的な高水準の穀物在庫を維持しており、「我々の小麦在庫は1年半分の需要を満たせる」と明らかにした。

 米国農務省(USDA)のデータによると、2022年上半期までに、中国は米の60%、小麦の51%を含む世界の穀物備蓄量の69%を保有すると予想されている。中国税関総署のデータによると、2020年の中国の食品輸入額は981億ドル(約11.2兆円)に達し、10年前の4.6倍になり、2021年1月から9月までの食品輸入額は2016年以降で最も多くなっているという。

 統計によると、過去5年間、中国は米国、ブラジル、その他の供給国から大規模に購入し、大豆、トウモロコシ、小麦の輸入量は2から12倍に急増し、牛肉、豚肉、乳製品、果物の輸入量も2から5倍に増加した。

 中国国内の生産が需要に追いつかないため、より多くの食糧とその他の食品を輸入しており、世界の食糧価格の高騰を直接引き起こしているという。国際連合食糧農業機関(FAO)によると、今年11月の食料価格指数は前年同月比で約30%上昇した。

(翻訳・徳永木里子)