中国陝西省の省都西安市は23日から事実上のロックダウン(都市封鎖)を開始した。
西安市で18日出血熱が発生したとして、地元の衛生当局が注意を呼び掛けている。同市では新型コロナウイルス(COVID-19、中共ウイルス)も感染が拡大していて、政府は同時流行に警戒を強めている。冬季五輪を控えた首都北京などにも感染者が広がったことから感染対策を強化。
西安当局は23日午前0時からロックダウンし、市民約1300万人が自宅待機を命じられ、移動を制限されている。全市約90のコミュニティが閉鎖管理され、23日午前0時以降、各世帯から1人だけが2日に1度、日用品を買いに外出することが許される。必要のない外出は一切禁止となっている。
人々の生活や防疫物資を運ぶ貨物車両は通行可。タクシーやネット配車などは中・高リスク地域への立ち入りや市外へ出ることも禁止とされている。市外に出ることは、やむを得ない理由があり、当局の許可を得た場合のみ認められる。
長距離バスの停留所はすでに閉鎖され、市内に通じる高速道路にも検問所が設置された。西安の空港へ発着する航空便も多くが欠航となっている。
この制限の期限は明らかになっていない。
中国の健康時報によると19日、西安市の疾病管理センターは、冬に入って西安市長安区で流行性出血熱の感染者が何人か出たと明らかにした。18日に西安市で「腎症候性出血熱」の感染者が複数見つかったが、正確に何人が感染したかについては公開しなかった。
中国国営テレビは、今年は例年に比べて感染者数と感染の範囲が拡大していると報じた。専門家の話として「今年夏に発生した水害によってネズミが人の住居地域に移動したことと関係がある」と伝えた。西安市の衛生当局は、感染源であるネズミと触れないように注意を呼び掛けている。
西安市の一部の地域や病院が閉鎖され、「出血熱」の治療指定病院はすべて満床で、死者も数名出ており、18日の夜には市外から1000人以上の医療スタッフが西安に入り、支援を行ったとインターネット上で噂された。出血熱の初期症状は一般的なインフルエンザと似ているため、多くの患者さんが風邪と勘違いすることがある。そのため、西安市疾病管理センターの専門家は、出血熱の発病や進行は速く、命にかかわる病気であり、発熱などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診するよう呼びかけている。
これとは別に、西安市では新型コロナの感染は9日ごろから拡大しており、同日から23日午後1時までに計234人の感染が確認されている。地元政府は、「2つの疫病が同時に流行するとコントロールが難しくなる」として、警戒を強めている。
北京は冬季五輪について、新型ウイルスがなお「最大の難関」だと認めている。実際のデータは隠蔽されて不明だが、同国公式の発表によればこれまでに11万3000人以上が感染し、4849人が亡くなっている。
(翻訳・吉原木子)