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 「オミクロン株」が世界で急速に拡大している中、東京大学はオミクロン株の伝播力がデルタ株の3〜5倍であることを確認する世界初の動物実験結果を発表した。

 ウイルス感染症の研究を専門とする東京大学医学研究所の佐藤研究室はこのほど、デルタ株とオミクロン株の症状や伝播力などを調べるハムスター実験を世界で初めて発表した。「病原性が強いか、弱いか」を見るのは、一般的に「体重の変化」を調べるという。同チームが現在公開している、まだ査読を受けていない論文によると、オミクロン株に感染したハムスターは体重がほぼ減らなかったが、デルタ株に感染したハムスターは5日間で体重の20%近く減少した。

 実験には、若い成長期のハムスターを使用した。そのハムスターに従来株、デルタ株、オミクロン株に、それぞれ6匹ずつ感染させて、体重の変化を見た。感染していないハムスターは、体重は増加していて、従来株やデルタ株に感染したハムスターは体重が減少。一方、オミクロン株に感染したハムスターの体重は、ほぼ変らなかった。

 また、オミクロン株に感染したハムスターはデルタ株に感染したハムスターよりも症状が軽かったが、オミクロン株の伝染力はデルタ株の3~5倍となることを明らかにした。

 また、ハムスターでの実験で、呼吸機能についても調べた。従来株、デルタ株については、酸素飽和度は急激に減少しており。オミクロン株は、少し下がった程度で、呼吸機能が「ある程度」保たれているということがわかった。

 医学者によると、オミクロン株の気管支での急速な増殖は、ウイルスを持つ人が他の人にウイルスを感染させやすくなる可能性があるという。

 東京大学医科学研究所・佐藤佳准教授は、今回の実験結果について、「あくまでも従来株やデルタ株に比べて、オミクロン株の病原性が弱いということ。ただ、ハムスターでも肺炎が起きている。だから風邪と同じと考えるのは非常に危険。感染数が増えれば重症化する人も一定数出てくる。オミクロン株は、デルタ株に比べ、感染する確率が高いウイルスなので、個人ができる対策は、しっかり続けていくべき」としている。

 香港大学医学院が15日に発表した研究結果によると、オミクロン感染後24時間のヒト気管支内の総ウイルス量は、従来株とデルタ株に比べ70倍も多かったという。オミクロン株の拡散速度が驚くほど速い理由となるかもしれない。一方、オミクロンはヒトの肺に感染すると増殖速度が10倍遅かった。これはオミクロン株は感染しても重篤な症状を起こさない原因になる可能性があるという。

 また、この研究を担当した香港大学の陳志偉(ちん・しい)准教授は、最近の研究結果では、オミクロン株がワクチン接種後と感染後に得られた免疫力を部分的に相殺していることが明らかになっており、オミクロン株の全体的な脅威は非常に大きい可能性があると述べた。 

(翻訳・吉原木子)