香港警察は29日、地元民主派ネットメディア「立場新聞（スタンド・ニュース）」の強制捜索を行ない、「扇動出版物の発行を共謀」した容疑で7人を逮捕した。メディアへの締め付けが強まっている。
これを受け同紙は同日、配信を停止すると発表した。「立場新聞」はフェイスブックに、林紹桐（パトリック・ラム、Patrick Lam）編集長代理が辞職し、全従業員を解雇すると投稿。ウェブサイトとソーシャルメディアのページも更新されず、間もなく削除される。
逮捕されたのは34歳から73歳までの男性3人と女性4人。「立場新聞」の林紹桐（パトリック・ラム）編集長代理、鍾沛権前編集長、歌手の何韻詩（デニス・ホー）氏、元民主派議員の呉靄儀（マーガレット・ング）氏、元役員の周達智氏など。警察は彼らを「扇動出版物の発行を共謀」した容疑で起訴した。
約200人の制服と私服の警察官が、九龍に位置する立場新聞のオフィスを捜索した。メディア関係は立ち入り禁止で、ビルの外にメディアゾーンを設けることしか許されなかった。6時間近い捜索の後、捜査官は証拠品やコンピュータなどを入れたスーツケースを引いて昼12時頃にビルから出た。
警察側は、逮捕された人は立場新聞の編集取材と運営に重要な役割を担当していたと主張し、報道資料を押収し、6100万香港ドル（約9億円）相当の資産を凍結した。
香港ジャーナリスト協会（HKJA）は、立場新聞の役員と幹部が逮捕されたことに深い懸念を表明する声明を発表した。HKJAは、過去1年間に繰り返されたメディア幹部の逮捕や、大量の報道資料を持つ報道機関への家宅捜索について深く憂慮していると述べ、基本法に基づいて報道の自由を守るよう政府に要請した。
（翻訳・徳永木里子）