世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が14日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株について、これまでの変異株には見られなかった速さで感染が拡大していると述べ、多くの国が軽く考えがちな傾向が憂慮されると指摘した。
アダノム事務局長は14日の記者会見で、オミクロン株はこれまでに77カ国で検出されていると述べた。「現実として、たとえまだ検出されていなかったとしても、オミクロンは恐らくほとんどの国に存在している」とし、症状は比較的に軽いが、大量の症例が急増すれば、依然として各地の公衆衛生システムに負荷をかけ、危害を及ぼす可能性があると警告した。
WHOはオミクロン変異株の流行が今後数週間でピークに達するだろうと述べた。
英国のロンドンではデルタ変異株を上回ってオミクロン株が主流になった。13日には英国でオミクロン変異株による初の死者が報告され、15日に報告された新型コロナの新規感染者数は78610例と、1日の症例数としてはパンデミック(世界的大流行)が始まって以来で最高を記録した。
米国でも欧州に続いて新しい変異株の影響が出始めている。疾病対策センター(CDC)によると、米国内で出回ったウイルスに占めるオミクロン変異株の割合は、12月4日の週の0.4%から、翌週には2.9%に増えた。ニューヨーク州やニュージャージー州などの地域では、前の週にはわずか2%だったオミクロン変異株の割合が、13.1%に増えているとCDCは推定する。
WHOによると、ワクチンの接種はまだ世界的に普及しておらず、98の国・地域では40%未満、41の国・地域では10%未満となっているという。
アダノム事務局長は、各国のワクチン接種率には依然として大きな差があり、世界的にカバーしなければ、新型コロナの流行は続くだろうと警告した。また、ワクチンだけでは、オミクロン変異株に対応できないと警告し、マスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保つなどの防疫措置を習慣化すべきだと呼びかけた。
(翻訳・吉原木子)