2014年に映画化された、2007年に中国で実際に起きた児童売買の事件。同映画は、有名女優の趙薇(ヴィッキー・チャオ)が誘拐された子供の母親役に出演し、上映して瞬く間に、強い反響を呼び寄せた。今年12月初め、同事件で子どもを誘拐された両親が、18歳になった息子にやっと会えた。
2007年10月、4歳の孫卓ちゃんが実家の肉まん屋の前で遊んでいたら、行方不明になってしまった。それ以来、父・孫海洋さんとお母さんは、同じく息子を誘拐された3000人以上の親と手を組んで、中国の26省を探して回った。息子の消息を切望するあまり、孫海洋夫妻は限られた経済力の中から捻りだした5万元(約89万円)の懸賞金をどんどん引き上げ、10万元(約178万円)、さらに20万元(約357万円)に引き上げた。最後には、肉まん屋の店名を「20万元の懸賞金で息子を探す店」に変えた。
今年12月6日、孫さん夫妻は14年にわたる捜索にようやく終止符を打ち、DNAが一致した18歳の息子に会いに山東省へ向かった。孫卓さんは現在、山東省聊城市陽谷県で養父母と2人の姉と一緒に暮らしている。
実際、中国では孫卓さんのような子供誘拐・売買事件がしばしばネットに出回っている。息子を探し続けている親に比べて、孫夫妻は幸運である。
慈善団体「子どもを家に帰らせるボランティア協会」が開設した「宝貝回家」(子どもを家に帰らせるという意味)のサイトによると、2016年3月1日時点で、4万世帯以上の家族が追跡登録をしており、2万4000人以上がわが子を捜しているとのこと。地域から見ると、雲南省、貴州省、四川省が児童の誘拐・売買の被害が最も多い地域になっている。
ある分析では、中国共産党(以下、中共)政権が強行した「1人っ子政策」によって、大量の女児が捨てられた。女児を捨てた家庭は、次に生まれたのが男の子でなければ、男児を買おうとする。その結果、中共政権が「1人っ子政策」を施行した30年間あまり、中国社会における男児の需要は大きくなり、男児売買という巨大な市場が形成された。こうした背景の中で、数え切れないほどの子供たちの親や家族が、子供と引き離された状況に追い込まれ、人生の奈落の底に突き落とされた。ドイチェ・ヴェレによると、中共政権が2015年に「1人っ子政策」を廃止して以降、メディアで報道される男児売買の件数が激減しているという。
児童売買は、どの国においても重大な犯罪であり、厳しく取り締まられている。しかし、中共政権の体制により、警察は児童売買を取り締まるよりも、中共政権の安定を維持することがメインの仕事である。一般市民は警察の監視と取り締まりの対象となっており、警察は支配下にある人々に良いサービスを提供しようとするものだろうか?
日本の戸籍は市町村の一般職員が管理している。しかし、中国の戸籍は地方公安局の専任警察官が管理している。つまり、中共の警察は一般住民を刑務所の囚人のように扱い、1人ずつにオリジナルのIDカード番号を持たせている。公安局は管轄内の住民の家族全員を詳細に記録し、誰かが住所や仕事に変化があれば、直ちに公安局で記録更新をしなければならない。
中共の警察は管轄内の住民の詳細な情報を持っているため、どこの家庭で人員に変化があったら知らないわけがない。子供を買い取った家庭は、その子供がどこから来たのかについて、地元警察にどう説明するのか?それとも、戸籍管理の警察官が、児童売買組織や子供を買った家族からの賄賂で見て見ぬふりをしているのか?
中国拐卖儿童
pic.twitter.com/YEMIRjbvVj— 天下新闻-精华版 (@ark999) August 15, 2021
(翻訳・徳永木里子)