中米ニカラグアの外務省は9日、中華民国(台湾)との外交関係を断ち、再び中国と国交を結んだと発表した。ニカラグアは12日、新型コロナウイルスのワクチン100万回分の寄付を中国から受け取ったと明らかにした。
ニカラグア政府代表団は12日帰国し、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領の息子で、補佐官でもあるラウレアーノ・オルテガ・ムリーリョ氏が、「ニカラグア国民にワクチン100万回分の寄付を持ち帰ったという素晴らしいニュースと共に帰国した」と述べた。
現地メディアは、中国シノファーム製ワクチンの第1便20万回分を積んだ中国国際航空機が、ニカラグアの空港に着陸した際の映像を放送した。ワクチンはこの後、順次ニカラグアに空輸され、合わせて100万回分が提供されるとのこと。ニカラグアの当局者は、北京との関係回復に「非常に感謝している」と述べた。
ニカラグアが中華民国と断交した日、蔡英文(さい・えいぶん)大統領は、ニカラグアの方針変更を受けて、「どれだけ外部から圧力がかかろうと、自由、人権、法の支配に対する私たちの決意は揺るがない。世の中をよくするための他の民主国家とのパートナー関係もだ」とツイートした。
台湾の呉ショウ燮(ジョセフ・ウー)外交部長(外相)は14日、中米ニカラグアが台湾との断交を先週決定したことについて、米国が主催した「民主主義サミット」から排除された中国が台湾と外交関係のある国を意図的に狙った行動の結果だとする認識を示した。
呉氏は地域の安全保障に関するフォーラムの合間に記者団に対し、「民主主義国が民主主義サミットを開催した際、中国が排除され、中国が標的となったため、中国はこの機会を選んでわれわれの国交樹立国を標的にしようとした」と指摘。「外交上の同盟国を失うことはわれわれにとって非常につらいことだ」と語った。
米国務省は10日、ニカラグア政府は自由選挙によって選出されたのではなく、ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領が行ったことは、ニカラグア国民の意思を反映しておらず、ニカラグア国民から民主主義と経済成長の確固たるパートナーを奪っていると指摘した。
一方、中国共産党は、新型コロナウイルスが流行している間、「ワクチン外交」を推進し、今年3月にはワクチンで中華民国の友好国を奪おうとしているというニュースが流れ、ワクチン外交がエスカレートしていた。中華民国の外交国であるパラグアイ外務省は、自称中国の代理人がワクチン購入の条件として「台湾との国交断絶」を申し出ていたことを指摘した。
(翻訳・吉原木子)